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『王女メディア』(1969)

『王女メディア』(1969)_e0033570_05432229.jpg父の王位を奪った叔父ペリアスに王位の返還を求めた王子イアソンは、交換条件としてコルキスにある金の羊皮を手に入れることを要求される。
コルキスの王女メディアの助力で首尾よく羊皮を持ち帰ったイアソンだったが、ペリアスは約束を反故にする。
隣国コリントスへ渡ったイアソンはその国王に見込まれ、その娘との結婚を承諾してしまう。
イアソンの裏切りを知ったメディアは復讐を誓い国王父娘を殺害、イアソンとの間に授かった我が子さえも手にかけてしまう…。

『アルゴ探検隊の大冒険』の続編(嘘)。
といっても『アルゴ~』の数年後に作られているし、後日談ではあるので強ち間違いでもなかろう。
あの作品のイアソン(ジェーソン)とメディアはハッピーエンドで終わったが、あの後の二人にこんな悲劇が待ち受けていたとは……。

というワケでギリシャ悲劇の『メディア』の映画化作品で、監督・脚本はピエル・パオロ・パゾリーニ、出演はマリア・カラス、ジュゼッペ・ジェンティーレ、マッシモ・ジロッティら。
昨年リバイバル公開されているが、映画館で見たのがこちらじゃなくて良かった。
あの暗がりの中で見せられていたら寝落ちしていたかもしれない。

とにかくお話がまるでわからない。
一応はギリシャ神話は読んでいるので大筋は知っているのだが、これ予備知識なしで映画だけ見た人は付いていけるのだろうか。

まず状況説明が何もなく、登場するキャラクターたちも誰が誰なのかさっぱりわからない。
説明台詞だらけなのも興ざめだが、見ている側に何の情報も与えないというのもどうなのだろう?
それともこの映画を見に来るような客は、基礎知識として当然持ち合わせているだろうという前提で組み立てられているか。

最後も唐突に幕を下ろしてしまうので、一体何が起こったのか訝しむ暇もない。
それでも「なんだか凄いものを見せられた気がする」のだから、”名作”というものは得てしてそんなものなのかもしれないが。

【ひとりごと】
序盤では幼少期のイアソン、終盤ではイアソンとメディアの息子たちそれぞれの股間が無防備な状態で映し出されるのだが……これって必要なカットなんだろうか?


by odin2099 | 2023-08-24 05:45 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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