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『宇宙水爆戦』(1955)

『宇宙水爆戦』(1955)_e0033570_20034994.jpg若き原子物理学者のミーチャム博士は、自家用ジェットで移動中に突如操縦不能に陥り、その後何事もなかったかのように着陸するという不可解な現象に遭遇する。
その博士の元に差出人不明の機械のパーツが届く。
説明書を元に組み立てると、それは現代科学を超えた技術で作られた通信装置だった。
その呼びかけに興味を持った博士は、迎えの飛行機に乗り込み招待を受けることに。
出迎えたのはエクセターと名乗る人物で、ミーチャム博士とは旧知のアダムス博士を含め世界各地から優秀な科学者が集められていた。
エクセターはメタルーナという惑星からの使者で、敗色濃厚な惑星間戦争から故郷を救うため、地球人の協力が必要だというのだが…。

30年ぶりくらいに再見。
「宇宙水爆戦」というと派手なドンパチがありそうなイメージだが、直接の戦闘は描かれない。
メタルーナはゼイゴンという惑星と戦争状態にあるのだが、ゼイゴン人は姿を見せず、戦争が始まった経緯も語られない。
ただ滅びゆく運命の星の地表へ、ゼイゴンの隕石爆弾が次々と打ち込まれてゆく場面が映し出されるだけだ。

メタルーナ側も一枚岩とは言えず、地球人科学者の助力を必要としているのは間違いないのだが、あくまでも平和的・友好的に協力を求めるエクセターに対し、その上官をはじめとする大多数は洗脳し、強制してでも協力させるべし、という態度を崩さない。

主人公である科学者たちもメタルーナの為に何かをするという
こともなく、メタルーナの胡散臭さから脱出を図ろうとして失敗、強制的に連れ込まれたメタルーナ星から何とか逃げ出そうと試みるだけだ。

地球とメタルーナでは気圧が違うらしく、行きも帰りも宇宙船内で身体を変化させて対応するというシーンがあったり、出番は少ないもののデザインの秀逸さから人気の高いメタルーナ・ミュータントが出てきたりで、50年代を代表するSF映画に数えられるが、今だったら「もう少し見せてくれよ」とか、「もっと理性的・理知的な行動は取れなかったものか」とか、そう感じるかもしれない。


by odin2099 | 2023-08-30 20:05 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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