『オリエント急行殺人事件』
2023年 09月 11日
ディズニー=20世紀スタジオもあまり期待してないんだろうか。
前作をテレビで放送する、なんていう予定もなさそうだし。

その為に色々と差別化を図っているのだけれども、一番大きな特徴は「ポアロの映画」になってることじゃなかろうか。
殺人事件が起き、たまたまその場に居合わせたポアロが事件を解決する、というのとはちょっと違う。
まず「ポアロありき」なのである。
映画の冒頭はオリエント急行に乗り合わせる前、別の場所でのポアロの活躍シーン。
ここでポアロというキャラクターを紹介し、それから徐に本編へと誘う。
これ、「007」シリーズなんかと同じパターンである。
軽いジャブで観客にポアロというキャラを印象付け、いよいよ壮大な事件が幕を開けますぞ、というワケ。
本筋に移っても犠牲者であり容疑者にもなる乗客たちの描写は控え目で、カメラは徹頭徹尾ポアロに付いて回る。
しかもアクション物の要素も加味して。
豪華キャストのアンサンブル映画の体裁を取りつつも、実のところケネス・ブラナーのワンマン映画な点が、旧作との目立つ大きな違いだと思う。
その為に、直前まで誰が犯人なのか皆目見当のついていなさそうだったポアロが、突如悟りを開いたがごとく事件を解決してしまう。
もう少し駆け引きというか、豪華キャスト陣相手の腹芸が見たいところだが、監督はそこには主眼は置いていないようだ。
なのでブラナーの演技に辟易しなければ愉しく見られるだろうが、昔ながらのオーソドックスな”探偵モノ”を見たかった人は少々喰い足らないだろう。
まあ何回か見ていると、これはこれで味があるなあとは思えてくるのだが。
<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/26247948/
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