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『ナイル殺人事件』

オリエント急行の旅から一転して、今度はナイル川のクルーズへ。
ケネス・ブラナー監督・主演のポアロ映画の2作目は、『ナイル殺人事件』。
これまた評価を得た先行作品のリメイク版ということになる。

『ナイル殺人事件』_e0033570_20432372.jpg今回も本筋とは直接関係ないアバンタイトルがあり、そこではポアロの若かりし頃の逸話が披露されている。
一応は後々の伏線(事件の、というより事件に取り組むポアロのスタンスの、という感じだが)にはなってはいるものの、他にもポアロ絡みで原作にはないちょっとしたエピソードを付け加えたりで、「ポアロ映画」の印象は益々強くなっている。
原作にはないといえば、前作に登場したポアロの友人がそのままスライド出演し、大きな役回りを担っていることも特徴だ。

殺人事件が起きてポアロが謎解きをする、のではなく、ポアロありきで、たまたまポアロの周囲で事件が起きた、という認識なのは前作同様。
そして2作とも犠牲者からポアロは、前以て身辺警護等を依頼されるもののそれを断り、結果として悲劇が起きてしまうというパターンも同じである。

悲劇的な過去を強調したからなのか、ポアロの奇人変人ぶりは影を潜め、悲劇の連鎖に激高するポアロの姿も新鮮だし、推理シーンも比較的一直線で、前作に比べるとより分かりやすく、見やすいものになっている。
ようやく軌道に乗って来たなといったところで、3作目がどんな作品に仕上がっているのか楽しみなところ。
以前は「クリスティ映画のシネマティック・ユニバース構想」についても語っていたが、ポアロ物に限らずまだまだクリスティー作品の映画化は続くのだろうか。

ところで劇中で、ガル・ガドット演じるリネットがクレオパトラの扮装をするシーンがあったが、確か彼女主演で「クレオパトラ」を映画化する企画があったはず。
監督の交代劇があったり、クレオパトラ役にはアラブ系またはアフリカ系の女優が相応しく、彼女が演じるのはホワイトウォッシングにあたるという抗議の声があったりと波乱含みで、現在はストライキもあって中断してるようだが、はたしてちゃんと公開されるのだろうか。

<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/29851600/


by odin2099 | 2023-09-11 20:45 |  映画感想<ナ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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