L.A.で連続猟奇殺人事件が発生し、人々はその犯人を「ファミリーマン」と呼び恐れていた。
そんな折、NYからL.A.へコールという刑事が赴任してキャンベルとコンビを組むことになり、コールによって新たな手掛かりを得たことで、捜査は少しずつ進展していく。
そこへ学校での人質立てこもり事件が起こり、コールはこれを解決。
犯人はL.A.の有力者の息子で、早速その用心棒がコールに接触してくるのだが、コールはこれをきっぱりと撥ねつける。
その後再び「ファミリーマン」による殺人事件が起こるが、その被害者はコールの元妻とその再婚相手だった。
しかも現場にはコールの指紋が残され、過去の経歴が不透明なこともあり、コールが犯人と疑われてしまう。
「沈黙シリーズ」のヒットでスターになったスティーブン・セーガルの、原点に返った刑事モノ。
…と思いきや、結局のところ「元特殊工作員(通称”グリマーマン”)」という属性は今回も付いて回る。
『暴走特急』と
『沈黙の断崖』の間に公開された作品で、『エグゼクティブ・デシジョン』は客演程度なので別にしても、同じワーナー映画なのに何故か「沈黙シリーズ」とは冠されなかった。
もしかしたら「沈黙」だけじゃなく、「グリマーマン」もシリーズのタイトルとして考えていたのだろうか。
冒頭から残酷な殺人現場の描写が続いているが、実際のところ猟奇殺人事件そのものは物語の本筋に関わって来ず、その犯人もカムフラージュに利用されてただけなので、これはその前年に公開されてヒットしたブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロー主演、デヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』に肖っただけなのだろう。
むしろ黒人刑事とコンビを組み軽口を叩き合うなど、軽快なやり取りのバディ物と化しているという点の方が、セーガル作品としては新境地なのではなかろうか。
もっともクライマックスは例によってセーガル無双。
せいぜい鼻血を出すくらいで、全くピンチらしいピンチがないのもいつものこと。
観客としてはそれを愉しみにしているのだから良いのだが、新鮮味がなくてどれも同じに見えてしまうのが難。
前にも見てる映画だけど、クライマックスがどうだったか全然覚えてなかった。
まあ合気道はカンフーなんかと違って、動きは派手じゃないということもあるのだが。
今回は何年か前に「午後のロードショー」で放送した際に録画したものを見たが、おそらく本編ノーカットかそれに近い編集のはず。
それにセーガルの声はやはり大塚明夫でないと。
ソフト版は玄田哲章なので、いまいち見る気が起きない。