
水爆の何千倍という威力を持つ新型爆弾が、国際軍事秘密結社ブラック団に奪われた。
東西両陣営を混乱させ、その機に乗じて世界制覇を遂げようというのだ。
更に爆弾の発明者である博士を誘拐し、世界連合に対し脅迫状を叩きつける。
この危機にあけぼの機関は、伊賀・甲賀の忍者の末裔たちで構成された忍者部隊の出動を要請する。
『忍者部隊月光』は2年以上に亘ってTV放送された人気ドラマで、これはその劇場版。
公開されたのはTVが始まって半年ほどの時期で、脚本は高久進、監督は土屋啓之助。
出演は水木襄、小川守、波木井健二、若宮五郎、森槙子、山口暁、石川竜二、小島康則、浅沼創一、明石潮、中山昭二のほか、ハロルド・S・コンウェイ、エド・キーン、関山耕司、八名信夫、片山滉、小林稔侍ら特撮映画やテレビまんがでお馴染みの顔も見受けられる。
そして音楽は渡辺宙明だ。
原作が吉田竜夫で製作が東映だから、『科学忍者隊ガッチャマン』や『秘密戦隊ゴレンジャー』に始まる<スーパー戦隊>モノのルーツと言える作品なのかなと思ったのだが、ヒーロー番組というより「007」の影響を受けたであろうスパイアクション物で、外連味には乏しい。
しかも劇場版の製作は東映だが、TV版は国際放映の製作。
以前宣弘社作品の『月光仮面』を映画化したのと同じようなパターンだ。
主人公たちが忍者の子孫ということで撒菱や手裏剣を使うのが現代モノのアクションとしては珍しいが、特に荒唐無稽なガジェットが登場するでもなく、また現場にあってはハンドサインで指示を下すなど全体的に渋めの内容だし、劇場版限定の追加メンバーを加えた九人の忍者部隊も、リーダーの月光を除けば誰が誰やらという感じだし、増量したもののお話は忍者部隊が終始後手後手に回っているし、80分がかなり長く感じられた。