
王位継承者のニコライ2世には英国女王の孫娘アリックスという婚約者がいたが、バレリーナのマチルダと出会った瞬間に恋に落ちる。
父アレクサンドル3世の死去に伴い、結婚式と戴冠式が行われることになるのだが、ニコライはマチルダと逢瀬を続ける。
だがそれは宮廷では許されざる行為だった。
そんな中、遂にニコライはアリックスではなくマチルダと暮らす生活を選択するのだが…。
「禁断の恋」というサブタイトルから、身分の壁に阻まれた秘められた恋を描く純愛物だろう程度の認識しか持っていなかったのだが、かなりエロティックなシーンが盛り込まれたスキャンダラスな作品だったので見て驚いた。
そもそもニコライとマチルダの出会いの場からしてスキャンダラスなもの。
先輩プリマの策略によって出番の前に衣装の紐を緩められたマチルダは、踊りの最中に片方の胸が開けてしまう。
しかし周囲の驚きと困惑の中で彼女は動じることなく最後まで踊り切り、それによってニコライをはじめ多くの男性を魅了することになるというもの。
マチルダ役のミハリナ・オルシャンスカは美しいだけではなく脱ぎっぷりも良く、その後もベッドシーンや入浴シーンなどで惜しげもなくヌードを見せてくれるが、常に高貴な美しさを醸し出している。
マチルダは自下層民からのし上がってやろうという人物ではなく、自らを高めるために努力する才能溢れる野心家として描かれており、決して自分勝手で周囲を手玉に取るような”嫌な女”には見せていないのも彼女の功績だろう。
実話に基づくラブストーリーということだが、ロシア皇帝のスキャンダルを扱っていることから、ロシア国内では公開の是非を巡って論争が巻き起こったとのことだが、ニコライ2世の優柔不断さが終始垣間見え、宮廷側に彼女の味方とも言える人物がいないことも”批判”と捉えられたのかもしれない。
ちなみにニコライ2世はロシア革命によって命を落とすが、マチルダはそれから50年以上も永らえ、長寿を全うしたそうだが、もしこの恋が成就していたらマチルダも革命の際に命を散らしていたのかもしれない。