
リバイバル・ロードショー公開中の「007」、お次はシリーズ2作目で、最高傑作との呼び声も高いショーン・コネリー主演の『ロシアより愛をこめて』。
丁度今から60年前の作品になるが、今見ても十分に面白い。
古臭く感じるかなと思ったのだが、もうこれぐらい昔の作品だと、ある種”時代モノ”を見ているような錯覚に陥る。
例えば今「キューバ危機」を題材にし、当時の風俗・習慣も盛り込んだ緊迫感溢れる映画を作ったとしたら、そこに描き出されるのは”古い世界”ではなく”歴史の1ページ”として受け止めるだろうが、それと似たような感覚といえば良いだろうか(この作品は「キューバ危機」の翌年に公開されている)。
そして色褪せないのは女性の魅力。
ヒロイン役のダニエラ・ビアンキは撮影当時21歳でボンドガールとしては最年少だったそうだが、とてもそうは思えない色っぽさ、と同時に無邪気な少女の顔も併せ持ったこのキャラクターは、今回初めて作品と出会う若い層も虜にしそう。

そして思ったのだが、おそらくここ1~2年くらいで7代目となるボンド役者が発表されシリーズは再開されるはずだが、米ソの対立というわかりやすい構図のあった時代と違い、今では英国諜報部員の活躍の場を用意するのはちょっと難しい。
現実の危機としてはロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、中国、北朝鮮といったあたりが上がるだろうが、これらを気軽にフィクションの世界で扱うのも制約が大きそうだ。
ならばいっそのこと、過去の話にしてしまったらどうだろうか。
初期の映画作品をリブートしたり、あるいはいっそ執筆当時そのままを舞台にして原作小説に忠実に映画化するとか。
多くの賛同は得られそうもない妄想ではあるが、これから70年、80年、100年と「007」をフランチャイズとして延命させるには、少々のカンフル剤投与も必要ではないかと考える。
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