人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『ロスト・キング/500年越しの運命』(2022)

専門家でも何でもないただの主婦が、とある切っ掛けでシェイクスピア劇に登場するリチャード三世像に違和感を抱き、独自に調査を進め遂には所在不明とされてきた彼の遺骨を発見するという実話ベースの物語。

『ロスト・キング/500年越しの運命』(2022)_e0033570_07595488.jpg容貌醜く「簒奪者」と呼ばれ、希代の悪人とされた彼は、勝者によって語られる歴史によって必要以上に貶められているのではなかろうか。
女性で、かつ病身の為に正当に評価されていないと感じている自分自身を彼に投影し、いわば負のパワーによって偉業を成し遂げることになる。

ただこれは比喩表現なのだろうが、しばしばリチャードの幻影と語り、直感で物事を進め、かなり強引に自説を主張して曲げない彼女の姿はかなりエキセントリック。
周囲をはじめ、家族や大学などの研究機関などからなかなか支援を得られなかったのも至極当然だろう。

しかしいざ結果が出ると、その手柄を横取りしようと大学が出しゃばってくるのは非常にリアル、かつ強い憤りを感じたが、この映画の狙いはそこら辺にもあるのかも知れない。
必ずしも万人の共感を産むタイプの主人公にはせず、単純なサクセスストーリーに仕立て上げなかった点も面白い。

内容はというと、ちょっとライトな『ダ・ヴィンチ・コード』といった按配。
謎解きの妙よりは、主人公と、鬱屈した彼女にとっての”イマジナリー・フレンド”と化したリチャードとのやり取りが、ファンタジー色やスピリチュアル色を強めているので歴史モノとしての愉しみは薄い。

英国史を知らないとこの世紀の大発見の凄さがピンとこないが、日本史で例えれば、勝者側である藤原氏や天智、天武系の天皇らによって極悪人とされた蘇我馬子や入鹿、蝦夷あたりを復権させる資料や遺骨、副葬品などが発見されるような感じだろうか。


by odin2099 | 2023-10-19 08:02 |  映画感想<ラ行> | Trackback | Comments(0)

悪文礼賛


by Excalibur(エクスカリバー)
カレンダー