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『アトムの足音が聞こえる』(2010)

タイトルにある「アトム」とは『鉄腕アトム』のこと。
その『鉄腕アトム』の音響デザイナーを務め、アトムが歩いたり空を飛んだりする音を創り出した大野松雄を取り上げたドキュメンタリー。
柴崎憲治、竹内一喜、大和定次、杉山正美、高橋巌、柏原満、桜井勝美、田代敦巳、町田圭子、小谷映一、ひのきしんじ、松田昭彦、Open Reel Ensemble、齋藤昭、涌井康貴、村上浩、由良泰人、レイ・ハラカミ、金森祥之ら仕事仲間や影響を受けた人物にも取材し、実際の音創りの現場もカメラに収め、『アトム」だけでなく『ルパン三世』や『サザエさん』、『ドラえもん』、『宇宙戦艦ヤマト』、『惑星大戦争』、『機動戦士ガンダム』などで実際に使われた音素材やフッテージも紹介されている。

『アトムの足音が聞こえる』(2010)_e0033570_20485275.jpgただ大野松雄という人はかなり型破りな人物だったようで、手塚治虫とやり合ったり、日頃から「面白ければ何でもやる」と公言している通りアニメーションだけでなく、実写映画やドキュメンタリー映画、イベントのパビリオンの音響効果などジャンルに留まらない活躍を見せた。
そして借金を抱えて失踪してしまう。

前半は映像作品における効果音について説明する内容だったが、後半は一転して行方不明になった大野松雄を追いかけるものになる。
結論から言えば、本人の所在は突き止めることが出来た。
東京を離れ京都で大学に転がり込んでワークシップなどで後進の指導に当たったりした後、滋賀の障碍者福祉施設で働いている姿を発見したのだ。
そこから今度は大野松雄という人物そのものに迫る内容となる。

印象に残っている言葉が二つ。
プロフェッショナルについて尋ねられた時の答えだが、一つは「いつでもアマチュアに戻れる」というもので、もう一つは「手を抜いても相手を騙すことが出来る」というもの。
今の自分にはその意味を完全に計知ることは叶わないが、含蓄のある言葉だ。
惜しくも昨年暮れに帰らぬ人となった。

【追伸】
今度は田代敦巳氏や柏原満氏にスポットを当てた映画を作ってもらいたい。


by odin2099 | 2023-10-27 20:51 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

悪文礼賛


by Excalibur(エクスカリバー)
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