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『デリンジャー』(1973)

ルーカス、スコセッシ、デ・パルマと来て、今度はミリアス。
「パブリック・エネミーNO.1」と呼ばれたジョン・デリンジャーを描いたこの作品が、ジョン・ミリアスの監督デビュー作だ。

『デリンジャー』(1973)_e0033570_09045198.jpg西部劇とギャング映画をミックスしたような映画で、出演はウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン、ミシェル・フィリップス、リチャード・ドレイファス、ハリー・ディーン・スタントン、スティーヴ・カナリー、クロリス・リーチマン、ジェフリー・ルイス、ジョン・P・ライアン、ロイ・ジェンソン、フランク・マクレー。そして脚本・監督がミリアス。

1933年、大恐慌時代のアメリカが舞台で、”犯罪王”と呼ばれたデリンジャーは、仲間を集め次々と銀行強盗を繰り返していた。
一方FBI捜査官パーヴィスは、彼らギャングを撲滅すべく執念を燃やしていた。
遂に逮捕され刑務所に収監されたデリンジャーだったが、堂々と脱獄したことで民衆は彼を英雄と持て囃すようになる。
しかしパーヴィスもまた、名だたる犯罪者どもを次々と血祭りにあげていた。

デリンジャーがどういう人物だったかは殆ど知らないが、作中では閉塞した暮らしを余儀なくされている民衆にとって、その大胆な行動によって風穴を開けてくれる存在――一種の”義賊”のように扱われている。
ただやってることは義賊とは程遠く、自己顕示欲が強く、ひたすら自己満足のために犯罪を繰り返しているだけだ。
かなり子供っぽくワガママな性格にも見え、この行為のどこに人々が快哉を叫ぶ余地があったんだろうかと疑問に感じる。

明るく長閑な音楽が流れ、軽妙な映画だと思わせておいて、その実派手な銃撃戦でバタバタ人が死んでいく。
これも「アメリカン・ニューシネマ」ってことだろうか。
殺伐とした場面にコミカルな音楽というのは、これはなかなか怖いものがある。

彼らがヒーローじゃない証拠に、皆が最後はジタバタ足掻いたり、逆にあっけなく死んでいく場面にも明らかだ。
凡そ格好良さとは無縁の惨めな死に様。
「デリンジャーは、この国が駆除すべきネズミだった/映画で彼を美化するのは感心しない/このような架空の話は、若者を今以上に間違った方向に導くだけだ/そうならないことを望む」
――なんていうFBI長官フーパーの言葉で締め括るのも皮肉が効いている。


by odin2099 | 2023-11-08 19:53 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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