『マーベルズ』(2023)
2023年 11月 13日

キャロルたちは即席でチームを組み、ダー・ベンを阻止するべく立ち上がるのだったが…。
<マーベル・シネマティック・ユニバース>フェイズ5の3本目の劇場用作品。
『キャプテン・マーベル2』なのだが、他にも幾つかの配信ドラマの続きにもなっていて、監督は「予習は不要」みたいなコメントをしていたが、劇中で殆ど説明がないので見ておかないとわかりづらい。
”おてんば隊長”モニカは前作では少女だったが今回はフューリーの部下で、かつてワンダのエネルギーに再三触れた結果スーパーパワーが覚醒していることや、カマラが何故超人的パワーを得てMS.マーベルとなったのかの説明はないし、カマラの家族(両親と兄)も出てくるので『ワンダヴィジョン』と『MS.マーベル』は押さえておいた方が良いだろう。
しかもキャロル初登場のシーンは、『MS.マーベル』最終話のポストクレジットシーンと直結している。
またスクラル人とクリー人の和平交渉の話は、『シークレット・インベージョン』のラストで出てくる。
その為にフューリーは、事件の後始末もそこそこに宇宙ステーションのS.A.B.E.Rに戻ってるのだが、それからある程度の進展があったことを伺わせる台詞もあるのだが、今回やや不幸な結果になってしまう、といった具合。
逆にこれらの展開を踏まえて見れば、上映時間の短さもあってサクサクと見られる。
女性3人がワチャワチャしているのを見るのは愉しいし、それぞれが苦悩やら葛藤やらを抱えてはいるもののさほど深刻にはならず、脇にまわったフューリーがなかなかお茶目。
そしてカマラの一家が、今までの<MCU>作品にはあまりなかった庶民の視点を持ち込んでいて、いい味出している(これまでは『アントマン』くらいか)。
賛否両論でどちらかというと否の意見の方が多い印象があるが、「傑作だ!」と力説する気はないが個人的には十分に楽しめた。
フェイズ5の3本の内ではこの作品が一番好きだ。
そして久々に”次”への期待を持たせてくれるポストクレジットシーン。
一つはケイト・ビショップの元をカマラが訪れ、チームへの勧誘を行うこと。
『アイアンマン』ラストのフューリー登場シーンを彷彿とさせるもので、「アントマンの娘も誘うつもり」との台詞もあってヤング・アベンジャーズ結成への期待が高まる。
もう一つは別次元へ飛ばされてしまったモニカのその後だが、亡き母ソックリのバイナリーというキャラクターに助けられたらしいのだが、その傍らにいたのがハンク・マッコイ、”ビースト”。
こちらも「チャールズに報告する」という台詞があったり、お馴染み「X」マークの付いた扉が出てきたりで、いよいよX-MENの合流近し、という感じなのだ。
このワクワク感、フェイズ4以降は久しく忘れていたものだ。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』の後は”燃え尽き症候群”みたいな状態だったが、これで<MCU>熱が再燃。
【ひとこと】
アベンジャーズの名前は度々出てくるが、具体的なキャラクター名な現況についての言及はなし。
ただスクラル人の保護のため、キャロルの依頼を受けたヴァルキリーがゲスト出演している。

マーベルさんは(いや、DCさんもだが)、ヒーローを他のヒーローとどうリンクするかを考えるより、各々のヒーローの物語をちゃんと紡ぐ映画を作ってほしい。
DCは『ジャスティス・リーグ』以降、他作品とのリンクを描くことを事実上放棄してしまったけど、マーベルはそこを重視してますね。
確かにそれ単独で楽しめる作品が理想だし、配信ドラマは映画を補完する役割を担って欲しいもんですが、現状だと映画もドラマも同列に扱われてますからねえ。