『クエスト』(1996)
2023年 12月 03日
だが密航がバレて奴隷同然の扱いを受けるが、ドブス卿の指揮する海賊船に襲撃され解放されるものの、ドブス卿はアメリカへ帰りたいというクリスを騙し、ムエタイの違法組織に売り飛ばされる。
半年後、バンコクでムエタイの試合を見に行ったドブス卿は、そこで試合に出ていたクリスと再会。
優勝者に黄金の竜が授けられるという異種格闘技大会に出場したいというクリスに、協力をさせられる羽目に。
ジャン・クロード・ヴァンダムの初監督作品で、なんとあのブルース・リーの『燃えよドラゴン』のリメイク企画なんだそうな。
世界各地から格闘技の王者を集めて大会を開く、というあたりにその名残があるような気もするけど、むしろ格闘ゲームの影響の方が強いかなー。
なんせ『ストリート・ファイターⅡ』の映画版に主演してる人だし。
日本からは北尾がスモウ・レスラーとして参加してる。
今回は監督兼任なのだから、自分をカッコ良くみせようという演出意図はわかるし、それには一応成功してるとは思うけれど、いかんせんオハナシが……。
これだけのハナシに1時間半も必要か?
だが、ヴァンダム監督を評価すべき点は別にある。
他ならぬロジャー・ムーアをスクリーンに引っ張り出したことだ。
『007』卒業後のムーアは一気に老けこんだ感があったが、もう既に『007』から10年以上。
やっと年相応、というか円熟した味が出てきた感じだ。
なまじ若く見られていただけにそのギャップが大きかったけれど、ようやく釣合いがとれたかな、という感じ。
茶目っ気や洒落っ気を持ちハッタリもかます海賊(?)というのもムーアには適役だ。
それだけでも一見の価値がある(だろう)。
また、映画の内容からするともったいないようなカッコ良い曲をランディ・エイデルマンが提供している。
こちらも一聴の価値ありだ。
以上、「しねま宝島」から転載。
『燃えよドラゴン』を見たので、こちらも見たくなって引っ張り出してきた。
題名の「クエスト」とは、ジャーナリストであるヒロインが書いた本の題名で、その本を主人公が読み聞かせている、という体裁のようだ。
『燃えよドラゴン』とは似ても似つかぬお話ではあるが、ロジャー・ムーアのユーモアとチャーミングさが映画の出来を救っていて、1時間半は飽きずに見ていられる。
実際ヴァンダムよりムーアの方が出番が多いくらい目立っているので、クリスではなくムーア扮するドブス卿が語り部でも良かったかも。
そうするとどこまで本当で、どこから脚色なのかが曖昧になるから、もっと荒唐無稽な流れでも受け入れられそうだが。