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『ヒドゥン』(1987)

『ヒドゥン』(1987)_e0033570_19433648.jpgロス市警の刑事ベックは凶悪殺人犯を逮捕したが、温厚な紳士だという男が何故凶行に及んだのか、その動機がわからなかった。
そこへギャラガーというFBI捜査官が現れて半ば強引に捜査に介入し、同様の事件がまた起こると告げるのだった。
果たして次なる事件が起こるのだが、双方の犯人に共通項はない。
しかしギャラガーは、両者は一つのものだと謎めいた言葉を残す。

監督はジャック・ショルダー、主演はカイル・マクラクランとマイケル・ヌーリーというSFホラーアクション映画。
凶悪犯の正体は人の身体に寄生して活動する凶悪な宇宙人で、それを追うギャラガー自身も同様の能力を持ち、妻子や相棒を殺された過去を持つアルタリア星人だった、というオチが付く。
最初は胡散臭い奴だとギャラガーを敬遠していたベックが、徐々に彼を相棒と認めていくバディ物でもある。

四半世紀ほど前に見た時のメモによると「低予算ながらアクションの見せ方、設定などに工夫があり、これは傑作。ファンが多いのも頷ける」とある。
確か公開当時はファンの間で、『ウルトラマン』の第1話と言われていたっけ。

それはラストシーンに顕著で、犯人は倒したもののベックは命を落としてしまうのだが、悲しむ彼の家族の姿を見て、ギャラガーは代わりにベックに寄生するのだ。
その行為が、自らの過失で命を奪ってしまった科特隊のハヤタ隊員への贖罪で、一つの命を二人で共有する一心同体状態になったウルトラマンに類似している、というワケ。

今回改めて見直して感じたのは、『シン・ウルトラマン』製作に当たっておそらくスタッフはこの映画を意識したのだろうな、ということ。
ウルトラマンと一体化した神永役の斎藤工の演技は、どこかこの作品のカイル・マクラクランの芝居を彷彿とさせるものがある。

ただこの作品の場合、異星人が地球の留まる理由がベックに対して友情を感じていたというより、ベックの幼い娘に一目惚れ(!)し、彼女の傍に居たいが為ではないかと思える節があり、そこにちょっとアブナサを感じる。
凶悪宇宙人の方も、女性の身体に寄生した際にはストリッパーとはいえ露出の高い衣装を身にまとい、自分で胸を揉んだりするようなヘンタイだったが。


by odin2099 | 2023-12-07 19:46 |  映画感想<ハ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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