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『惑星ソラリス』(1972)

未知なる惑星ソラリス。
その表面を覆う”海”には知性があると考えられていたが、その接触には失敗し宇宙飛行士の報告は要領を得なかった。
計画の続行か中止か、その判断を下すべく心理学者のクリスが観察用の宇宙ステーションへと派遣されるが、そこに滞在する三人の科学者の内の一人は謎の自殺を遂げ、残る二人も狂気に憑りつかれていた。
一体そこでは何が起きているのか。
やがてクリスはステーション内でいるはずのない人影を目撃する。
更に自室に戻った彼の前に現れたのは、十年前に自ら命を絶った妻ハリーだった。
ソラリスの”海”は、どうやら人間の潜在意識下にあるものを実体化させ、送り込んでくるらしいことがわかる。

難解なSF映画として『2001年宇宙の旅』と双璧を成すアンドレイ・タルコフスキー作品を鑑賞。
原作はスタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』で、出演はドナタス・バニオニス、ナターリヤ・ボンダルチュク、ユーリ・ヤルヴェット、ニコライ・グリンコ、アナトリー・ソロニーツィン、ウラジスラフ・ドヴォルジェツキーら。

『惑星ソラリス』(1972)_e0033570_19355512.jpg哲学的な内容という点では『2001年』以上かもしれないが、ソラリスの”海”そのものが何なのかについては登場人物たちが説明してくれるので、ストーリー自体はさほど難解とは言えない。
ただ”海”をクリスは過去の贖罪として活用し、現実逃避し、思い出の中で生きることで心の安らぎを得ているようだが、他の二人の科学者の反応は違うようで、人ぞれぞれの捉え方があって正解はない。
いわば「心の鏡」として機能しているということなのだろう。

見どころとしては、未来都市の風景として首都高速道路が使われていることが一つ。
洋画でしかもSFなのに、馴染みのある風景に日本語の表記が現れる様はなかなかシュールだ。
もう一つは、ハリー役のナターリヤ・ボンダルチュクの美しさ。
彼女が液体窒素で自殺を図った直後のシーンでは、薄物を羽織っただけで全身ずぶ濡れのために胸元が露わになってしまい、その中で半狂乱になって乱れる姿は何とも色っぽい。

ラストシーンは、クリスが地球に戻ったのかと思わせておいて、実はソラリスの海が見せている幻覚の世界なのだというオチなのだが、実はこの風景、オープニングに出てくるのと同じ場所。
ということはこの物語、一体どの時点からソラリスだったのだろうか、という疑問もわく。
不思議な味わいのある作品だ。


by odin2099 | 2023-12-18 19:38 |  映画感想<ワ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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