『機動戦士ガンダム0083/ジオンの残光』
2024年 01月 21日
ただこの劇場版だけで『0083』というドラマが理解できるかというと、それは無理だろう。
表面的には連邦のコウ・ウラキとジオンの”ソロモンの悪夢”アナベル・ガトーとの対決、その間で揺れるニナ・パープルトンという三角関係がメインにはなっているが、製作側が語りたかったのはそれではないはずだ。
エギーユ・デラーズが掲げる理念と、それに心酔するガトーらデラーズ・フリートの面々。
その獅子身中の虫であるシーマ・ガラハウの、敢えて浅慮と呼びたい行動。
連邦軍の硬直した体制を苦々しく思っている良識派と、この機に乗じて暗躍する後のティターンズの萌芽。
アクションを売りにしたロボットアニメでは、安易に前面に押し出すのが躊躇われる政治ドラマこそ本音のように思えるのだが如何だろう。
実際この映画だけ見ているとニナという人物が何を考えてるのかわからなくなるし、シーマがそのタイミングで裏切らなければデラーズ・フリートは勝利を収めていたやもしれず、そうなっていればシーマの発言力も増し、折を見て自分の思う様にシステムや組織そのものも作り替えることさえ出来たのでは?と感じるので、やはり元になったOVA全13話を見てこその『0083』だろう。
<過去記事>
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