『アビス』(1989)
2024年 01月 22日
その作業中にリンジーは知的生命体と思われる存在と接触するが、バッドらには信じて貰えない。
一方、軍からの密命を帯び原潜の残骸から密かに核弾頭を回収したコフィは、徐々に常軌を逸し始めていた。
そしてハリケーンは益々勢力を強め、接近してくるのだった。
期待しているような、していないような、という状況で見たのだが、さして興奮もしなかった割に失望もしなかった。
ストーリーの運びそのものはさして面白いとは思わないし、演出も特別どうこういうものでもないのだが、それでも最後にドーン!と圧倒させて、感動させてしまうというのは凄い。
映像のパワーだな。
小説版もぜひ読んでみたいが、小説ではこの説得力に勝てるかどうか。
とはいうものの、結局この作品は何一つ解決してくれていない。
深海の文明を築いた知的生命体が一体何者なのかは全く分からない。
劇中の人物はエイリアンではないかと考えているが肯定も否定もせずなので、それが不満といえば不満だ。
作品全体の印象を一言で表現するならば、海洋ロマンとか海洋アドベンチャーとかラブストーリーとか呼ばれるけれど、やはり『2001年宇宙の旅』や『未知との遭遇』の海洋版といったところが妥当だろう。
展開などは『2001年』に近いけれど、ヒューマンな部分、暖かさのある部分は『未知との遭遇』に近いし、何よりもハッピーエンドなのが嬉しい。
数年経ったら是非見直してみたい作品だ。
当時のメモから抜粋したが、数年どころか24年経っての再鑑賞と相成った。
もっとも数年後に『アビス<完全版>』がリリースされているので、その時には見てはいるのだが。
で、今回思い出しながら見ていて感じたのは、深海の異星人(?)の出番ってかなり少なかったんだな、ということ。
一応この作品も『2001年宇宙の旅』や『未知との遭遇』、『惑星ソラリス』、『コクーン』、『コンタクト』、『ミッション・トゥ・マーズ』、『インターステラー』に連なるファースト・コンタクト物になるだろうが、メインは人類と異星人との接触ではなく、バッドとリンジー、破局寸前の夫婦が如何に絆を取り戻していくか、にある。
またマイケル・ビーン扮するコフィが精神を病んでサイコパスと化し、プラットフォームに滞在するメンバー全員を窮地に陥れるというサブプロットもかなり引っ張るので、余計焦点がぼやけてしまったように感じる。
『ターミネーター』では格好良かったのに、『エイリアン2』、これ、と段々酷い役ばかりになっていくなあ。
また心肺停止状態のリンジーを蘇生させるシーンでは、服の上からでは効果がないとして服を引きちぎり、胸元を露わにして電気ショックを与えるのだが、ここではリンジー役のメアリー・エリザベス・マストラントニオが無駄脱ぎ。
リアリティが大事との判断だろうが、おっぱいが見えても色っぽくもなんともない場面なので、アングルで見せないようにも出来たと思うのだが。
主演のエド・ハリスは『ライトスタッフ』と『アポロ13』に出たことで「宇宙飛行士顔」なんて言われてた頃があったが、今回は宇宙ではなく深海だが特殊なスーツに身を包んで活躍。
確かにこういった姿は様になるなと改めて感じた。