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『マリンスノーの伝説』(1980)

『マリンスノーの伝説』(1980)_e0033570_20132626.jpg1980年夏に2時間枠で放送されたテレビスペシャル用の長編アニメで、原作・監督・総設定は松本零士
この夏は劇場で『ヤマトよ永遠に』、テレビではこの『マリンスノーの伝説』と、2本の新作松本アニメが楽しめたことになる。
松本零士色がかなり強い作品で、宇宙を舞台にしたSFが全盛の時代に、海洋SFモノというのも差別化が図れて良い。
今回本放送(か再放送か)ぶりに見たのだが、かなり細部まで覚えていて我ながら驚いたし、作画の荒れは気になりはしたが、最後まで愉しんだ。

増えすぎた人口対策として海洋都市建設計画が進められていたが、工事現場に爆発事故が起きる。
海洋科学局に勤める島岡ナミに爆破容疑がかけられるが、同僚の海野広には信じられない。
だがそれは生存権を脅かされた海の民による妨害工作で、ナミは海の民の女王イザナミの娘だった。
計画を推進する海洋王ドクトル・ゼルバートは、以前より海の民の存在を知っていたが、計画を強行させ海の民への攻撃を始めたため、遂に陸の民と海の民は戦争状態に陥ってしまう。
そんな中で海野広は海底都市へ連れて来られ、女王から海の民の悲しい物語を聞くのだった…。

完全オリジナルストーリーで、主人公は海野広だが『Queenエメラルダス』とは無関係だし、沖博士をはじめどこかで見たようなキャラクターが闊歩しているものの、既存の作品群との関係は描かれない。
また海の民の戦士たちのリーダーで、かつナミの許婚のゼイナという人物が登場するのだが、広とナミとゼイナは三角関係になりそうでならないのもある意味で新鮮だ。

ゼイナはナミを想っているのだろうが、生まれる前から決められた関係=宿命と捉え、自らの恋愛感情よりも海の民の大義を優先しているし、ナミはゼイナに対しては同志的な信頼を寄せている一方で、広に対しては友情以上のものを感じている様子がハッキリと窺え、広は広でナミに対して仕事仲間以上の感情を抱いているのはわかるのだが、お互いにそれ以上に踏み込みはしない。
ゼイナは広に対して嫉妬に近い感情を持っているようにも思えるが、広はゼイナを、ナミを危険な目に遭わせてる許せない存在くらいに感じていそうだが。

『マリンスノーの伝説』(1980)_e0033570_20131385.jpgナミの声は「松本ヒロインといえば」の麻上洋子で、これはもしかすると当て書きだったのかも知れない。
広に古谷徹という配役もちょっと意外だったが、広の隣人・山盛正(いわゆる”おいどん”的キャラ)に古川登志夫はこれは完全に意表を突かれた。
永井一郎が沖博士を演じるような当たり前すぎて面白くないキャスティングとは真逆で、これは正直言ってミスキャストとしか思えない起用にも感じる。
また当たり前すぎるといえばゼルバート役の伊武雅刀で、佇まいから台詞回しまで完全にパート1の頃のデスラー総統
ここまでそっくりだとかえって違和感を覚えなくなる。

劣勢に追い込まれた海の民は、遥かな昔に同胞が移住した木星の衛星ガニメデへ救いを求め続け、ようやくコンタクトが取れて地球からの脱出を図る。
広は海の民のメッセンジャーとして地上へと帰るが、イザナギとナミはそのまま海底都市と運命を共にしたように見える。

テレビシリーズ化の構想もあったようで、実現していればナミとイザナギがどうなったのか、ガニメデの海の民がどのような行動を取るのか、そして陸の民と海の民の懸け橋にならんとする広はどう動くのか、先々が色々と気になるところではあるものの、残念ながら実現しなかった。

十年ほど前だったか、リメイクだか続編だかで『新・マリンスノーの伝説』という企画が報じられたことがあったが、こちらも続報なく立ち消えになった模様。
今後も松本零士作品のアニメ化の話は出てくるだろうが、その際には超有名作品だけでなくこういった作品にもスポットが当たると嬉しい。


by odin2099 | 2024-01-25 20:35 | テレビ | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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