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『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(2024)

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(2024)_e0033570_19560555.jpgC.E.75、独立運動やブルーコスモスの侵攻など戦いはまだ終わっていなかった。
事態を鎮静化するべく地球連邦やプラント、オーブらが共同で世界平和監視機構コンパスを創設し、ラクスが初代総裁に選ばれ、キラたちはその一員として各地の戦闘に介入していた。
そんな折、ユーラシア連邦から独立した新興国ファウンデーションが、ブルーコスモスの本拠地攻略のための合同作戦を提案してくる。

『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの最新作で、完全オリジナルの劇場版。
製作発表から公開まで実に18年を要することになったが、それでも実現し、劇場へ多くのファンが足を運んでいるとは、ファンの力は素晴らしい。

昨年秋から『ガンダムSEED』、『ガンダムSEED DESTINY』の総集編を履修した俄かファンには相変わらずハードルが高く、見ていて「これ誰だっけ?」と思うこともしばしば。
それに当然ながら新たな勢力に新たなキャラクターが出てくるわけで、各人の立ち位置を思い出しながら見ていくのはなかなか辛いものがあるし、2時間ドンパチが続くのもどっしりとした疲労感。
また総集編はアスランが語り部だったので、このシリーズは何となくアスランが中心に動いているように感じていたが、この作品でのアスランは中盤からの登場なので何か落ち着かないものがあった。

ということで物語はキラとラクスが中心に動く。
そして前作で死んだデュランダルの影が大きい。
ディスティニー・プランの話はあれで終わりかと思いきや根強い信奉者がおり、ともすればキラは世界秩序を乱した存在と見做されていいる。
これにラクスの出生の謎が絡み、キラにとっての恋敵が現れ、精神的に追い詰められていく。

前作の主人公だったはずのシンは、キラと対等もしくは凌駕する存在として描くことも出来たのだろうが、終始キラを慕う弟分の役回りに留まり続ける。
そんなキラを立ち直らせるのは、やはりアスランの役目。
そしてキラを強く愛するラクス自身の存在だった。
ということでクライマックスは気恥ずかしくなるくらいラブラブなカップルが、全てにケリをつけて終わることになる。
わからないなりに圧倒され、余韻に浸る間もないエンディングを見、劇場を後にした。

それにしてもちょっと気になったのは、例えばトミノガンダムならキャラクター同士の共感は共感として描き、行間を読ませる演出にはなっていても精神的な繋がりを重視しているのだが、SEEDの場合は共感、共鳴が即座に恋愛感情に直結するような表現が多い。

前々作ではいきなりのキラの性行為シーンがあったし、本作でもキラとラクスは同棲生活を送っているようだし、アスランとカガリも肉体関係を想起させるやり取りがあったりで生々しい。
一部で『ガンダムSEED』はドロドロの人間関係の昼メロだという声もあるそうだが、然もありなん。
もう少し違う表現の手段はなかったのか、とも思ってしまう。

ともあれ、製作サイドは本作を「最新作」と称し、「完結編」とは謳っていないし、これだけのロケットスタートを切ったのだから、C.E.(コズミック・イラ)の歴史はまだ紡がれるのだろう。
テレビシリーズを制覇し、”次”を楽しみに待ちたい。

しかし『ガンダムSEED』って、普通にゲルググとかズゴックとかギャンとかメガ粒子砲とか出てくるんだな。
以前にもジェットストリームアタックを見たけれど。


Commented by ふじき78 at 2024-03-11 23:55
若者の乱れた性が、このように社会に危機をに落とし入れる事になるとは思わなかった。
Commented by odin2099 at 2024-03-13 20:12
> ふじき78さん

元々の「ガンダム」ってハードな戦争モノというイメージがあったけど、この頃になると普通にラブストーリーがメインに来ちゃうようになったんだねえ。
by odin2099 | 2024-01-30 19:58 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』)


by Excalibur(エクスカリバー)
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