『2010年』
2024年 02月 14日
前作ではまず冒頭に有名な”人類の夜明け”の場面があり、そこから1999年の月面でのモノリス発見まで一気に時が流れる。
その後は2001年の木星近辺でのディスカバリー号の船内描写になってしまうし、その前の1999年も宇宙船の船内と宇宙ステーション、月面基地が出てくるだけなので、2001年の地球がどうなっているかは明らかにされない。
未来の人々がどのような暮らしをしているかは断片的に描かれるだけだ。
それに対して本作では、まだ健在だったソ連とアメリカの冷戦状態は続き、しかもその緊張状態は高まっていて一触即発の危険を孕んでいることが序盤で明らかにされ、これが終盤での緊迫感を高める役割を果たしている。
だが現実から地続きの世界にしてしまったため、例えばこの映画が作られた数年後にソ連は崩壊し、パンナムは破産してしまったので、続編でありながら『2010年』は、『2001年』よりも古く感じられてしまうようになったのは残念だった。
相も変わらずモノリスを残した”超存在”の正体や意図は不明なままだが、HAL9000が変調をきたした理由は明らかにされているし、何よりもボーマン船長が当時を彷彿とさせる姿を見せてくれるだけで、この作品は語り継がれるだけのものになり得ているのではないか。
そう思っている。
<過去記事>
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