『画中仙』(1988)
2024年 02月 15日
見たい見たいと思っていた『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の亜流の一本。
亜流と言ってもヒロインは同じジョイ・ウォンだし、道士役も同じウー・マだ。
そもそも『チャイニーズ~』の道士役を気に入ってしまったウー・マが、自ら監督した作品なのだから徹底している。
また主演がユン・ピョウだし、合成シーンなどSFXも充実しており、なかなか金が掛かっているようだ。
単なるコピー作品というよりは番外編に近い。
音楽担当も同じだし。
基本ストーリーは『チャイニーズ~』とほぼ同じ。
幽霊と人間との結ばれない恋愛ストーリーという線は、同じ亜流作品である『ゴールデン・スワロー飛翔伝説』より『チャイニーズ~』に近い。
その分オリジナリティがないが、その代わり道士ウー・マと弟子ユン・ピョウの師弟愛にウエイトが置かれているのが新味だ。
反面コミカルさが強調され、悲恋の方が薄れてしまった感があるのも否めない。
ジョイ・ウォンは甦ることなく、二人は絵の中で結ばれるというある種残酷な終わり方なのだが、それを和らげようという意図もあったのだろうか。
とはいうもののラストが唐突なのと、二人の出会いの方法に無理があるのを除けば楽しめる作品。
化物が殆ど登場せず、相手側が美女ばかりなのも嬉しい限りだ。
今回32年ぶりかで見直したけれど、当時の感想と全く変わらない。
のっけからウー・マが行水しながら歌い踊るし、最終決戦の前にも自問自答しながら歌い踊るのはワンマン映画とはいえカンベンして欲しいところだけど、全てはジョイ・ウォンの美しさを引き立てる為、と我慢するしかない。
ただ映画的にジョイ・ウォンの見せ場は殆どなく、ただいるだけなのが勿体ないのだが。
幽霊と恋に落ちる書生はン・カイワーで、ユン・ピョウとはW主人公といったところ。
本家のレスリー・チャンが終始ヘタレだったのに対し、こちらはヘタレ担当とアクション担当に分かれているので見せ場が作りやすいという工夫がある。
製作がサモ・ハンなので、アクション場面を充実させようというアイディアは最初からあったのかもしれない。
本家のパート2はこの作品の後に作られたが、そちらでもアクションを担うジャッキー・チュンのキャラクターが付け加えられたのは、もしかするとこちらを参考にしているのかも。
また妖怪王が妖艶なエリザベス・リーなのは、ひょっとするとクリーチャーを造る時間や予算がなかったから…?
まさかね。