『陰陽師0』(2024)
2024年 04月 21日
脚本・監督は佐藤嗣麻子、出演は山﨑賢人、染谷将太、奈緒、安藤政信、村上虹郎、板垣李光人、國村隼、北村一輝、小林薫。
幼い頃に両親を亡くし賀茂忠行の直弟子として育てられた安倍晴明は、並外れて優れた才能の持ち主だが、出世には興味を持たず陰陽師になる意欲も持たない変わり者だった。
そんな晴明はある日、皇族の徽子女王を襲う怪奇現象の解決を依頼されたことから、雅楽家として高名な源博雅と知り合う。
互いに反発し合うものの、やがて二人は平安京を揺るがす巨大な陰謀に巻き込まれてゆく。
原作の『陰陽師』の淡々としたやり取りが好きなのだが、映画になるとどうしても都を襲う怪異、スケールの大きな陰謀劇、そしてアクションが売りになってしまうのだな。
そしてクールな晴明と対比するためなのだろうが、博雅がどこか抜けてて頼りないけど、実直で人の好いお坊ちゃんになってしまうのも違和感が大きい。
また今回の晴明は、クールというより合理的な考えをする現実的な人物、平たく言うと”現代人”として描かれてる節があるので、これまた多少の違和感は否めない。
達観してると言うより、世の中を斜めに見て粋がってる若者のようにも見えてしまうので。
まあこれが当たればこのコンビでのシリーズ化も狙っているだろうから、それが実現すれば自ずと方向性も変わってくるのではないかとは思うのだが。
で、今回の陰謀劇の黒幕なのだが、キャスト陣を見れば見る前から大方の予想が付く。
だが深読みをし過ぎて見事に外してしまったのが残念。
素直に「怪しい奴は怪しい」という直感に従って見ていれば、然程の混乱も生じまい。
白黒写真に人工的に着色したかのような、全体的に淡いトーンに包まれた映像も悪くはない。
ただいつかは原作の雰囲気を活かした映像版も見てみたいものだが、深夜枠で15分~30分程度で細々と、では商売にならないか。
あるいはコアなファン向けにネット配信とか。
夢枕獏の『陰陽師』に、壮大な物語は似合わない。