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ゲキ×シネ『狐晴明九尾狩』(2022)

九尾の妖狐が大陸から日本へと亘ってきた印を見つけた安倍晴明は急ぎ参内するが、「人と狐の間に生まれた」と噂され、“狐晴明”と呼ばれている彼は宮廷から疎まれており、その進言は却下され、代わりに大陸から学問を修めて戻ってきた賀茂利風が、九尾の妖狐退治の陣頭指揮を執ることを命じられる。
だが幼いころから兄弟同然に育ってきた晴明は、既に九尾の妖狐が利風を倒し、その身体を乗っ取っていることに気付く。
妖狐は利風の記憶や知識を利用して晴明を排除しようとするが、一方の晴明も大陸から妖狐を追ってきた狐霊のタオらの協力を得てその野望を止めようとする。

<劇団☆新感線41周年興行>として2021年秋に上演した”いのうえ歌舞伎”を、「ゲキ×シネ」作品として映像化もので、興味があったもののチケットは取れず、その後のゲキ×シネ版の劇場公開にも行きそびれてしまったものをようやくBlu-rayにて鑑賞。
なかじまかずき作、いのうえひでのり演出、出演は中村倫也、吉岡里帆、浅利陽介、竜星涼、早乙女友貴、千葉哲也、高田聖子、粟根まこと、向井理で、ゲキ×シネ版の監督は中村浩紀。

ゲキ×シネ『狐晴明九尾狩』(2022)_e0033570_20195542.jpgのっけから二転三転する物語展開にすぐに引き込まれ、一幕二幕合わせて160分ほどの作品だが一気に見終わった。
クールでどこか人間離れしたイメージのある安倍晴明だが、この作品の晴明は人間臭く、激高したりコミカルな面を見せてくれるのでなかなか新鮮(ただラストではとある理由で変貌するのだが)。

最初のうちは相手にしてやられての大騒ぎを繰り返しているので、晴明にしては頼りないなと感じていたのだが、結局は全てにおいて一枚上手で、皆計算ずくの行動だったと明らかになるあたりは流石に晴明である。
演じる中村倫也はあまり好きな役者ではないものの、所作は美しいし表現力もあって引き込まれた。

その中村倫也以上の存在感を見せたのは賀茂利風/九尾の妖狐役の向井理で、利風としての晴明とのバディ感と正当な二枚目ぶりと、一転してラスボスとしての妖狐の、悪役としての迫力に大いに魅了された。
この二人を中心にして脇を芸達者な面々が支えるという理想的な構成。
もし再演の機会でもあれば、今度こそ生で見てみたい。

ただヒロインである吉岡里帆は、元々振り幅の大きな役なのだが、それを表現するには台詞回しも含めてはじけ具合が足りないのが気になった。
とはいうものの、生ものである舞台の、その内のたった一回の演技だけでそう断言してしまうのも酷だろう。


by odin2099 | 2024-04-21 20:22 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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