『サイボーグ009/超銀河伝説』(1980)
2006年 04月 07日
お話やシチュエーションはアレレと思う部分も多いですし、台詞が妙なのも気になるんですが(同じことを繰り返したり、会話が噛みあってなかったり、一人合点してばかりだったり等々)、絵は綺麗だし、キャラクター自体はしっかり立っているし、芝居どころもきちんと用意されていますので、見ていて唸らせられるシーンも幾つか。アニメーション映画としての完成度は、世間一般の評価よりはかなり高いと思っています。
そういえば今年は『サイボーグ009/完結編』の小説版が刊行される、と告知されていましたけれど、あれから続報がありませんね。頑張れ!小野寺丈!!
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以下、「しねま宝島」より転載
とかく評判の悪い(ファンにも)作品ではありますが、私は大好きです。
いいじゃないですか、面白くなくたって(おいおい)。
そもそもサイボーグ戦士たちが何で宇宙へ飛び出さなきゃなんないの?というのが大問題なのですが、これは営業上の戦略ってやつなんでしょう。
『銀河鉄道999』、『地球へ…』、『ヤマトよ永遠に』と、昨年から今年にかけての東映のアニメ大作は、みんな宇宙を舞台にしたSFなのでありますから、ブームには阿らなければなるまい、とスタッフ(というより上層部)が判断したとしても無理はないでしょう。
…まぁ、そこに無理があったのではありますが。
それでも純粋に楽しんだのですよ、当時の自分は。
宇宙に出ていくなんて映画ならではのスケール感、すげぇ~!てな具合に。
それに何だかんだといって00メンバー・サイボーグの(ほぼ)全員にそれなりの見せ場も用意されてますしね。
ハインリヒの過去話とか、美女に言い寄られるジョーの優柔不断さなども持ち味ですよ、持ち味。
多すぎるキャラクターも、何とか消化しようという努力のあとはうかがえます。
また絵も綺麗です。
サンライズ制作のTVシリーズでは中盤以降かなり荒れてきていましたが、流石に天下の東映動画、組織力はバッチリです。
それに同じ東映が製作(「制作」とは微妙に違います)のために、何気にサンライズ版TVシリーズの続編ともなっております(「続編」というよりも「その後」と言った方が良いですかね。これといって引きはないですが)。
音楽も同じすぎやまこういちセンセだし(といいつつ、えらく雰囲気が違うメロディーばかりなので、サントラ盤を買った時に物凄くショックを受けたのも事実だったりします。結局劇中ではTV版からの流用曲が何曲かありますけれど)。
でもお話が、というよりも世界観の設定がどうもピンとこないんですよね。
ボルテックスって一体ナニ?
これはおそらく脚本協力としてクレジットされてる外人さんの責任が大きいようですが、この方はあの『スター・ウォーズ』のシナリオ・ライター(の一人)っていう肩書付きで鳴物入りで(?)招聘されたみたいですけど、ホントに『スター・ウォーズ』に関ってたんですかい?
スタッフ・リストでお名前を拝見したことがないのですが。
同時期に日米合作で企画されていた劇場版『ウルトラマン』のシナリオも書いていたようですが、こちらはあっさりボツになったようです。
なんだか『ナバロンの要塞』のリー・J・トンプソンに監督やらせると息巻いていたようですがね。
で、この人の意見によってピュンマはオバQではなく美形キャラに整形させられ(黒人を揶揄しているからという理由ですが、それならジェットのお鼻は問題なかったんですか?)、それもファンにソッポを向かれる要因になったみたいです。
もっともそれ以降はこちらのタイプが定着して、近年TVで放送された新シリーズのデザインも美形でしたけれども。
それはさておき、この人のストーリー構成案とやらがどの程度完成作品に生かされているのかはわかりませんけれど、なんか『009』らしくないなぁと感じる遠因にはなっているのでしょう。
そういえばシナリオの執筆を巡っては、プロデューサー側と対立した監督が作品を降りちゃったという事件もありましたっけ。
元々はりんたろう監督をはじめ、『999』のメインスタッフがスライドして作られるはずだったんですよね、この作品。
ということで製作段階でもかなりゴタゴタがあり、また公開されてからも賛否両論あったわけですが、やっぱり私はこの作品が大好きです。
この作品単独で捉えても見るべき点は多いと思いますし、更に『999』『地球へ』『永遠に』と比較することによってもっと興味深く見られることと思います。なんでどの作品も主人公の旅立ちとエンディングに歌が流れているんだ?!などなど。
しかしこの作品の同時上映が『’80アニメーション・ザ・ベストテン』……いらん!
余計なことするな!
「完結編」読みたい気持ちと、このまま永遠に終わりがない!というのもいいかなと思ってます。
「完結編」を作るのは、読者ファンみたいな感じで・・・。(笑)
「超銀河伝説」は、これはこれでいいのでは?
「メリーポピンズ」のような話もあるわけですからね。
004が生身の姿で生き返るというのは、ちょっと頂けないですが。_(^^;)ゞ
例えどんなに面白く仕上がっていても、「完結編」に満足することはないだろうな、と思っています。
ただ石ノ森センセがどういう構想を抱いていたのか、それだけは知りたいな、と。
また、他者の手で漫画化されることはないという話なので、出来れば劇場版なりでアニメーション化して欲しいとも思います。
『超銀河伝説』は、サイトの方でも書いたかと思いますが、『999』、『地球へ・・・』、『ヤマトよ永遠に』という流れの中で一番最後だけに損をしている部分はあります。4作品とも共通点が多いですから。
でもこの作品単独で見るなら悪くはありません。
確かにハインリヒが生身で復活してくるのはアレレと思いましたけど(笑)、TV放映の際にはこのシーンが丸ごとカットされちゃってるのもどうかと思いました(爆)。
そうですね。「完結編」には満足しないのでしょうね。
でも見たい、読みたいと思う気持ちと、見てがっかり、読んでがっかりの気持ちが葛藤してますね。(笑)
劇場版もいいんですけど、劇場版ではなくて、OVA(DVD)でもいいですね。
劇場版という小さな枠よりも、時間的にも余裕があって、ファンのみんなに伝えたいものを全て入れてもらいたいので。
或いはそういったシリーズと連動した形で劇場版を作るのも。
個人的にはもう一度劇場で『009』を見たい、という気持ちが強いんですが、それは必ずしも「完結編」じゃなくても良いんですけどね(笑)。
未映像化の「エッダ編」とか「海底ピラミッド編」とか、そういったスケールの大きな作品なら見てみたいです。
ただ・・・「完結編」のTV化はイヤだなぁ(爆)。
あの、平成シリーズのクオリティを考えると・・・・・・。