『オペレッタ狸御殿』(2005)
2005年 05月 29日
唐の国からやって来た狸御殿の狸姫と、自分より美しい者は例え息子であっても存在を許さないという、がらさ城城主・安土桃山に命を狙われる嫡男・雨千代との、ミュージカル仕立てのラブ・ストーリー。しかし出演者の顔触れを見て、大いなる期待を寄せてしまったのが大間違いだった。舞台の書割のような平面なセット、奔放なイマジネーション溢れるというよりも、行き当たりばったりで投遣りな印象さえ受ける編集等々、作り手は面白いと思ってやっているのだろうが、見ている方は感情が寸断され、思考停止状態に陥ってしまうのでちっとも楽しめやしない。それに、”オペレッタ”というのは”喜歌劇”とも訳されるくらいハッピーエンドが定番なのに、この結末では納得いかないね。実に勿体無いことである。
よって見所はチャン・ツィイーのみ! 最初カタコトの日本語喋り出した時は、全篇こんな調子かと愕然としたもんだったがトータルではまぁまぁ。あとは薬師丸ひろ子が意外な拾い物だったくらいか。
この作品のアピール・ポイントに、美空ひばりの<デジタル出演>というのがある。この<デジタル出演>、てっきり過去の出演作品から適当な映像を抜き出してデジタル合成しているのかと思いきや、CGで姿も声もゼロから作られたものだというから驚きである。しかし台詞もあって歌も”披露”してくれていて、その技術力の高さをアピールしてはいるものの、結果的には下手なタレントの中途半端なモノマネ演技を見せられているような気がして落ち着かない気分にさせられるのはどうも・・・。





