人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『SHINOBI』(2005)

『SHINOBI』(2005)_e0033570_17144110.jpg徳川家の3代将軍の座をかけて、伊賀組・甲賀組それぞれから10人の手足れの者を選び出し、トーナメント形式で死闘を繰り広げるという、山田風太郎の『甲賀忍法帖』が原作。双方の跡継ぎが、そうとは知らずに出会ってしまうという、忍者版『ロミオとジュリエット』的悲恋が物語の中心。
原作は未読だが、山田風太郎は一度はきちんと読んでおきたい作家の一人。これを機に原作にも手を伸ばしてみようかと思う。原作ファンには今回の作品、かなり生温いと不評らしいが。

将軍家の跡目争いに何ゆえ伊賀・甲賀の争いを絡めるのかがわからないのだが(家光にするか忠長にするか、家康は悩んでいたということ?)、風景が美しく撮られているのは特筆もの
物語の舞台となっているのは伊賀・甲賀それぞれの隠れ里と、大御所家康のいる駿府城、さらに駿府へと向う道中だが、ロケーションは岩手県、栃木県、静岡県、山梨県、茨城県・・・と多岐に渡り、セットでは表現し切れない美しさを醸しだしている。

『SHINOBI』(2005)_e0033570_17145931.jpgしかしドラマ部分は、その画面の美しさに充分応え切れているとはいえない。
時間の制約もあって忍びの精鋭たちは5人に削られたにもかかわらず、各人のキャラ立てが今ひとつで、それぞれの得意な技が何なのか、見ているだけではサッパリ判らないのは困りもの。
それに何と言っても、仲間由紀恵がちっとも美しく撮れていないのは問題だ
彼女だけでなく、沢尻エリカはもっとコケティッシュに、黒谷友香はもっと妖艶に撮れるはずなのに(仲間由紀恵に至っては、目の下の隈が目立ってしまうのはお気の毒)。
スチール写真ならOKでも、本編でこの調子ではNG。「美しいだけで中身はスカスカ」と言いたいところだったけれども、これでは「美しい”だけ”」とも呼べない。

『SHINOBI』(2005)_e0033570_17152043.jpgこれといってスタッフはコメントしていないようだが、この作品が成立したのは『グリーン・デスティニー』、『HERO/英雄』、『LOVERS』など古装片のヒットと無縁ではないだろう。
ただそのヒットに触発されてというよりも、あの程度なら日本でも充分に作れると勘違いして、表面だけなぞっているようなのが非常に気になる。仲間由紀恵ではチャン・ツィイーには敵わないし、オダギリジョーもトニー・レオンやアンディ・ラウには及ばない。況やチョウ・ユンファやジェット・リー、ドニー・イェンらにはとてもとても・・・。
せめて千葉真一や真田広之クラスが出ていたら、もっと引き締まった映画になっていたかもしれない。


ところでこの作品、あのウォシャウスキー兄弟からリメイクのオファーが届いているようだが、この忍者同士の戦いを現代の企業スパイに置き換えるのだという。そんな設定で面白くなるんですかい?
『SHINOBI』(2005)_e0033570_18313561.jpg

Tracked from レンタルだけど映画好き  at 2006-04-16 00:02
タイトル : SHINOBI
愛し合う運命。殺し合う宿命―― 2005年 日本 監督 下山天 出演 仲間由紀恵/オダギリジョー/黒谷友香/椎名桔平/沢尻エリカ/りりィ/寺田稔/坂口拓/升毅/虎牙光揮/木下ほうか/伊藤俊/三好健児/石橋蓮司/松重豊/永澤俊矢/北村和夫 原作 山田風太郎 あらすじ 徳川家康が天下を統一し、時代が太平の世へと向かい始めていた1614年。それまで忍者の二大勢力を誇った伊賀と甲賀は、初代・服部半蔵が定めた掟により長きに渡って互いに戦うことを禁じられてきた。そんな中、それぞれの跡取りである...... more
Tracked from AI-z「出田直正(na.. at 2006-09-02 10:18
タイトル : 映画『SHINOBI』(下山天監督)★★
>映画『SHINOBI』(下山天監督)★★ 忍者なのかΣ( ̄□ ̄;) これは、忍者なのかΣ( ̄□ ̄;) 超能力バトルではなく、 忍術バトルなのかΣ( ̄□ ̄;) 展開的には、昔からある一人ずつお亡くなりになっていくパターンです。 最後は、仲間... more
Tracked from minaの官能世界 at 2006-09-11 06:19
タイトル : SHINOBI
 とうとう観てしまいました、忍。 観に行くと言いながら、延ばし々々、早や2ヶ月が過ぎ去ってしまいました。 これ以上、引き延ばすと、上映が終了してしまうという瀬戸際まで来たので、意を決して、大街道シネマサンシャインに足を運びました。 これまで劇場で観た時代劇は、みーんなハズレばっかりだったから、この作品への期待は、もの凄く大きかったです。万一、おもしろくなかったら、もう時代劇は劇場では観ないとまで思い詰めていました。 前売券まで買っているのだから、観る前に、がっかりするようなことがあってはならないと思い...... more
Tracked from OmuhaCinema at 2007-01-25 02:16
タイトル : SHINOBI-Heart Under Blade-
 古くは平安の時代から“忍”は存在したという。 また、“忍”には伊賀と甲賀という2つの有名な一族がいた。 彼らは山里に暮らし主君のために忍術を持って任務を果たす影に生きていた。戦うことが彼らの生きがいかのようでそれが定めのように思える。 時代は徳川家が天下をとり戦国の世から泰平の世へと変わろうという時代だったのだ。 「SHINOBI」では対立する伊賀忍者と甲賀忍者の戦いと敵同士である各々の上に立つ二人の若者どうしが愛をお互いに心にいだきつつも戦わなければならないという運命へ立ち向かい戦う物語であり...... more
Tracked from ともやの映画大好きっ! at 2007-02-08 23:14
タイトル : SHINOBI -HEART UNDER BLADE-
【2005年・日本】TVで鑑賞(★★★★☆) 山田風太郎原作の「甲賀忍法帖」を実写映画化した伝奇アクション・ロマン。 関ヶ原の決戦で勝利を収め、1603年に江戸に幕府を開いた将軍・徳川家康(北村和夫)。長い戦乱を治め、泰平の世作りを始めた家康は、将軍職を嫡子・秀忠へ譲り駿府へ退いた後も政権を握り、天下統一を目指して争いの芽を摘み続けていた。1614年。人里離れた山奥に400年の昔より、人智を超えた不思議な術を持つ忍者たちが暮らす2つの里があった。伊賀の鍔隠れと甲賀の卍谷。犬猿の仲であった伊賀と甲賀...... more
Tracked from mama at 2009-12-25 17:27
タイトル : SHINOBI
2005年:日本 原作:山田風太郎 監督:下山天 出演:仲間由紀恵、オダギリジョー、黒谷友香、沢尻エリカ、椎名桔平 徳川家康が天下を統一し、時代が太平の世へと向かい始めていた1614年。それまで忍者の二大勢力を誇った伊賀と甲賀は、初代・服部半蔵が定めた掟によ....... more
Commented by mina at 2006-09-11 06:27 x
わたしは、劇場でもDVDでも観ましたが、とてもおもしろかったです。
戦闘シーンなとで不満が残るとしても、テーマがそこにあるのではなく、悲恋にあるから気にならなかったです。
この作品の場合、悲恋で終わることが宿命づけられているので、余計にそうなのかもしれません。あとちょっとだけ、彼らの方に幸運が傾いていたら・・・・・・、という切なさがよかったです。
Commented by odin2099 at 2006-09-11 23:05
minaさん、いらっしゃいませ。

これだけの出演者を揃えているのですから、徹底的に綺麗に撮るか、
あるいはけれんみを効かせたクション演出をするか、
そうなればもっと面白くなったんじゃないかなぁ、と勿体無く思ったのです。
それに、その方がより主人公二人の悲劇性が浮き彫りにされたのではないでしょうか?
by odin2099 | 2005-09-24 09:40 |  映画感想<サ行> | Trackback(6) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur
カレンダー