『ウィング・コマンダー』(1999)
2005年 07月 30日
物語は時系列的にはゲーム版の前日譚になるようだが、作品の世界観や登場するキャラクターたち(特別な血筋である主人公の設定など)がわかりづらく、またビジュアル面でも戦闘機や戦艦が一発で敵味方を識別出来るほど個性的なデザインではないため、既にゲームをプレイしている人なら問題ないのかもしれないが、予備知識なしでは初心者には少々辛い。
しかし全体的に安っぽさはあるものの(これはCGの多様が原因か)、宇宙空間を舞台にした戦争モノは意外に少ないので結構楽しめる。ゲーム自体は『スター・ウォーズ』のフォロワーの一つで、ゲームのムービー部分では主人公をマーク・ハミルが演じていたりするそうだが(他にもマルコム・マクダウェルやジョン・リス・デイビスが出ているらしい。また本作品ではノン・クレジットで声の出演も?)、本家『スター・ウォーズ』も宇宙でのドッグ・ファイトは比較的少ないのでこれは貴重。
また時代設定は未来だが、どことなく第二次大戦あたりの雰囲気が漂うのは意図的なものだろう。主人公が女性上司(彼女が”ウィング・コマンダー”だ。主人公は最後まで”ウィング・コマンダー”にはならず仕舞い)と恋愛関係になるなんざ、『トップガン』かと思うくらい。なお日本版の予告編では堂々と”連邦軍”だの”ニュータイプ”だのといった単語をちりばめているが、どちらかといえば「ガンダム」というより「ヤマト」寄りの感じだ。ノリの良いテーマ音楽はデヴィッド・アーノルドの担当。
類型的なキャラクターが多い中では、主人公の相棒を演じたあの『スクリーム』のマシュー・リラードが儲け役になっているが、何故かこの人、主役のフレディ・プリンゼJr.との競演が多い。『シーズ・オール・ザット』、『スクービー・ドゥー』、『サマーリーグ』、『スクービー・ドゥー2/モンスター・パニック』、そしてこれという具合に5作品もあるのは珍しいのでは。私生活でも古くからの付き合いで仲が良いらしい。また脇をチェッキー・カリョやユルゲン・プロホノフ、デビッド・スーシェ、デビッド・ワーナーら渋い面々が固めているが、今ひとつ活かされていないのは残念。