DVDでリリースされた、TVシリーズ『銀河鉄道物語』の総集編。
元々は劇場版として作られ、当初は昨秋の公開を予定していたものの諸事情で冬へと延期になり、結局は
公開を予定していた劇場が消滅(?)してしまったため、代替劇場の手配がつかずに中止になってしまったといういわくつきの作品。
ただクレジットには「劇場版」の文字が残っている。
136分の長尺を貰ったとはいえ、シリーズ全26話を一本でまとめようというのが所詮は無謀な話。
キャラクターの紹介も充分とは言えず、細切れのエピソードが羅列され、全体的なストーリーの流れも掴みづらい。
銀河鉄道に敵対する存在が何なのかも見え難く、途中まではお馴染みダークィーン率いるメタノイド艦隊なのかと思っていたくらいだ。
シリーズに最初から最後まで付合った人には馴染みある世界だろうが、初見の人にはチンプンカンプンで映画の出来としては下の下であろう。
ただこちとら年季の入った松本アニメファンの端くれ、シリーズは中途半端に見ていただけだが、情報のない部分は過去の蓄積(?)で脳内補完し、気が付くと作品世界にドップリと惹き込まれていた。
悪く言えばどこかで見たようなキャラクター、どこかで見たようなシチュエーションがこれでもかと出てくるということだが、これも松本アニメならではの味だと善意に解釈しよう。
これ一本だけで作品全体を判断することは無茶だが、以前主題歌レビューの項で”『銀河鉄道999』+『宇宙戦艦ヤマト』のような”と書いたが、これは作品そのものにもそのまま当てはまりそうだ。
999自身もゲスト出演(メーテルと鉄郎らしきシルエットも乗客の中にいる)しているが、クライマックスの展開に『さらば宇宙戦艦ヤマト』というか『宇宙戦艦ヤマト2』や『ヤマトよ永遠に』が脳裏に浮かぶというファンも多そうだ。
今時のアニメファン向けとはいえそうもないが、ブーム真っ最中の作品群にはまった人なら気に入ると思う。
続編の製作も決定したことだし、シリーズ全話もこの際きちんと見ておきたい。
ただどうしても一つ気になったのは、銀河鉄道を守る”SDF”の設定そのものは魅力的なのだが、彼ら自身が<ビッグワン>と呼ばれる特殊車両を持った鉄道を駆使する必要性がどこにあったのか、という点である。
緊急事態が発生して出動する際に、わざわざ空間軌道のレール上を進むというのは制約が大きすぎないのだろうか。
また非常時にはワープ航法で脱出したり、他の惑星へ不時着する際には手動操作も行っているようだ。
となればレールを無視して移動出来るということになるが、そうなればなおさら彼らの乗機(?)が列車型である必要は全くないだろうに。
クライマックスの敵艦隊との交戦シーンなど、都合良く敵母艦が存在する位置までレールが敷かれているわけでもないし、と考えてしまうと違和感が先に立ってしまった。