『川の深さは』 福井晴敏
2005年 03月 08日

それに発表は前後しているが、この作品は第43回江戸川乱歩賞の候補作品。
惜しくも受賞を逃し(受賞作は野沢尚の『破線のマリス』)、次作『Twelve Y.O.』が44回の受賞作となってデビューすることになったが、こちらが実質的なデビュー作なのである。
狂信的な宗教集団による地下鉄爆破テロ事件に端を発し、北朝鮮問題や自衛隊の有り方を問い、クライマックスは首都東京での市街戦!
となれば荒唐無稽過ぎて付いて行けない人もいるだろうが、粗さはあるものの小難しい理屈をこねない上質の娯楽作品になっていてラストもホロっとさせられる。
ちなみに表題は、作中に出てくる女性誌に載っているという心理テストに由来している。
「あなたの目の前に川が流れています。深さはどれくらいあるでしょう? 1.足首まで。 2.膝まで。 3.腰まで。 4.肩まで。」
これは情熱度を現しているということで登場人物の性格付けの一助になっているのだが、さて、あなたの答えは?


紹介文「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。や...... more

福井晴敏 『川の深さは』(講談社文庫)、読了。 ずーっと読んでみたかった福井作品。 でも、大作が多いので、挑戦するのに腰が引けてました。 やっと読んだのはデビュー作であり問題作とされる本作です。 ...... more