『検事長ゲイツの犯罪/ドリームチーム弁護団』 シェルドン・シーゲル
2005年 10月 20日
確かにゲイツは鼻持ちならない人物だが、さりとて殺人を犯すとも思えない。マイク・デイリーは同じく弁護士の元・妻ロージーや、元警官で私立探偵のピートら御馴染みの面々を率いて裁判に挑んでゆく。
前回同様に、容疑者は本当に殺人を犯したのか、それとも他に真犯人がいるのか、誰が本当のことを言っているのか、嘘をついているとしたらそれは何のためか、事件の裏側にはどんな事情が隠されているのか、という興味でグイグイ引っ張ってゆく。
といっても謎解きのサスペンスを楽しむというより(ラストがちょっと肩透かしなのが玉に瑕・・・かな)、目玉は法廷での丁々発止の遣り取りにあり、この部分が長すぎる、饒舌すぎるという声も多いようだけれども、僕は大いに楽しんだし、文庫本で700ページ近い分量も一気に読み終えた。前作同様マイクの一人称で展開されるのも良い。
「ドリームチーム」と翻訳で名付けたのは大げさ(あるいは嫌味)にも感じるが、マイクがチームを組む面々だけでなく脇役も個性豊か。作者も他のキャラクターを使ったスピンオフの構想を持っているらしい。実現したらそちらも読んでみたいが、だがその前に本家の続編を是非何とかして欲しい。
三作目は既に2~3年前に刊行されているらしいのだが、一向に翻訳されていないのだ。頼むよ。