『スター・ウォーズ/悪の迷宮』 ジェームズ・ルシーノ
2005年 08月 01日
<クローン大戦>ノベルもこれで5作目となり、前作『暗黒の会合』から半年後、『エピソード3』冒頭部分へ直結する物語となっている。
プロローグというよりも「前編」という方が相応しく、これから読もうと思っている人はぜひ『EP3』ノベライズ版とセットで読むことをお奨めする。
それに『エピソード2』で提示されたままになっている幾つかの謎――カミーノにクローン兵の発注をしたジェダイ・マスターのサイフォ=ディアスの正体、ジェダイ・アーカイブからカミーノの座標を消したのは誰か等々にも解答を与えてくれている。
またオビ=ワンとアナキンのコンビが主人公として活躍するのはこれが最初で最後でもある。
作者はこれまでの<クローン大戦>ノベルやTVアニメ『クローン大戦』(チャプター1~20)で描かれた事件やキャラクターを丹念に拾い上げ、単なる派生品に留まらない充実した仕上げぶり。
コマンダー・コーディやモン・モスマ、それにドドンナなどといったキャラクターまで登場させてきたのには驚いた(ドドンナというのは後の『EP4』で反乱軍の指揮をしていた軍人だ)。
ただそこまで周到に他作品とのリンクを徹底させながらも、ほぼ同時期に発表となったアニメ『クローン大戦』チャプター21以降とは明らかに矛盾する展開なのが惜しい。
どちらも辺境でのオビ=ワンとアナキンの活躍と、グリーヴァスとジェダイたちのコルサント攻防戦を並行して描いているのだが、その内容はまるで別物。これは作者のせいではなく調整に当たったルーカス・フィルム側の落ち度だろうが、本当に勿体無いことだ。
公式のタイムラインとしては、どちらの事柄を取上げているのだろうか。