『ドリームチーム弁護団』 シェルドン・シーゲル
2005年 06月 04日
その事務所内で、パートナーのボブ・ホームズとアソシエイツのダイアナ・ケネディが死体となって発見されるという事件が起きた。ダイアナは明らかに他殺だが、ボブの方は他殺か、それとも自殺なのか?
そんな中で殺人容疑で逮捕されたのは、同じくS&Gパートナーのジョエル。マイクの初仕事は、この元同僚で友人のジョエルを弁護することになった。
対する検事は、やはり元S&Gパートナーで、地区検事長への転身を遂げたばかりの元の上司スキッパー・ゲイツ。ジョエルに不利な条件の中、マイクは元妻で弁護士のロージー、元警官で私立探偵の弟ピートらとチームを組んで果敢に挑戦していく。
文庫本で800ページ超、厚さにして三センチ程度というボリュームに恐れをなしたが、読み始めるとあっという間だった。
マイクがチームを組むのは一癖も二癖もある面々だし、対する元の同僚たちも食えない連中だ。そして徐々に事務所そのものの腐敗も明らかにされていく。
裁判が始まれば、検察側・弁護側双方の丁々発止のやりとりが楽しめる。
物語がマイクの一人称で進行するのでテンポも良く、裁判の過程が丁寧に描かれているのでグイグイ惹き込まれていく。ただ、最後の最後の謎解き部分は、もう少し事前に伏線を張っておいて欲しかったなぁという気がしないでもないが、こちらが見落していただけか。
既にシリーズ化され三作まで発表されているようなので、機会があれば読んでみようと思う。
この著者もご多分に漏れず本業は弁護士だが、それにしてもスコット・トゥローやジョン・グリシャムの成功以来、法曹界に身を置きながら執筆する人が本当に増えた。才能ある人の集まりなのだろうな、法曹界というところは。