『すべての美人は名探偵である』 鯨統一郎
2005年 02月 22日
両作品は連作短編だが、今回は長編小説になっているところが面白い。
きちんと両作品の後日談にもなっていて、『邪馬台国~』の舞台であるバー<スリーバレー>とそのバーテンダー松永はそのまま出てくるし、静香と電話のやりとりをする相手は名前こそ出て来ないものの宮田六郎だろう。
また東子が会いに行く、刑務所に服役中の元刑事というのは、やはり名前は出て来ないが『九つ~』の語り部である工藤に違いない。
そのあたり上手く両作品を絡めてあるが、そもそも『九つ~』には静香と思しき人物がゲスト出演していたのだから、その頃から構想があったのかもしれない。
徳川家の秘密が絡んだ殺人事件を、静香と東子の二人が解決していくという物語のはずなのだが、犯人探しとその動機、さらに本筋(?)の徳川家の秘密の解明は釈然としない。
二大ヒロインの暴走ぶりを楽しめれば良いというライトノベルなので、ミステリー・ファンにはあまりお薦めしかねる内容だ。