『からかい上手の高木さん』(2024)
2024年 07月 02日

とそこに突然高木さんからの電話…という導入部で始まる劇場版。
てっきり高木さんはいきなりフランスから帰ってくるのかと思いきや、実はもうとっくに帰国していて今は東京の大学に通っているのだとか。
ただあれ以来島には一度も戻っておらず、西方にも会っていない、ということらしい。
一度西片は東京へ会いに行こうとしたらしいが、生憎おたふく風邪に罹ってしまい、断念してそのまんま…というのはちょっとねえ。
今夜は中井くんと真野ちゃんの結婚を祝した同窓会があり、明日から来る教育実習生の指導を任された西片が教室へ入ると…掃除の用具入れからいきなり飛び出してくる高木さん。
これが二人の十年ぶりの再会の様子。
西片だけが教育実習生が高木さんだということを知らず、また同窓会が高木さんの帰郷に合わせてのものだったことを知らされず……相変わらず可哀想な西片。
高木さんの西片への”愛”が重くて、ともすればイジメになってるような気がしないでもない。
ストーカーにもなりかけてるし。
ともあれ周囲の人との交わりの中で、西方は初めて自分の感情を認識し、高木さんは高木さんで自分の気持ちを再確認し、そしてやっと二人は結ばれるというのが今回のお話。
途中でかなりくどいやり取りがあったりもするけれど、事件も事故も起きない、時間がゆっくりと流れていく何気ない日々の中で、少しずつ変わっていく人と人との関り、交わり。
なかなか素敵な小品に仕上がっているように感じた。

西片はともかく(「え?」とか「へ?」といったリアクションを寄せているので、ドラマからの連続性が感じられる)、高木さんがどうしても高木さんに見えない。
高木さんならこんなこと言いそうとか、あんなことやりそうと思える場面もあるのだけれど、いやあ高木さんならこんなリアクション取らないだろうなとか、そう感じてしまう場面もあって、それがどうしても気になってしまう。
見ようか見まいか、どうしようか悩んでいたけれど、結果的には見て良かった。
青春ラブストーリーとしては佳作、しかしながら『高木さん』の映像化としては失敗作。
それが自分のひとまずの結論である。
今後コロッと宗旨替えする可能性も無きにしも非ず…。
ちなみに西片は既に教師になっているのに、高木さんはまだ実習生の理由だが、実は劇中では説明されていない。
ただ高木さんは中3の夏に渡仏したので9月から新学年が始まり、やはり秋に帰国して翌春に大学受験したと考えれば一学年ズレても不思議ではない、ということかな。