『デッドプール&ウルヴァリン』(2024)
2024年 07月 31日
今年公開される唯一の<MCU>映画がコレ。
『デッドプール』の3作目、『X-MEN』の最新作、そして20世紀FOXへの鎮魂歌。
デッドプールとウルヴァリンの共演を実現させたライアン・レイノルズに拍手。
引退を撤回し、ウルヴァリンとして戻って来てくれたヒュー・ジャックマンに拍手。
そしてエレクトラ、ブレイド、ガンビット、ヒューマン・トーチらカメオ出演のヒーローたちにも拍手。
手放しで歓迎し、興奮冷めやらぬ声も大きく聞かれるが、この映画のハードルは結構高い。
ここ数年、「一見さんお断り」度数を高めてきた<MCU>の中でもトップクラスかも知れない。
なんせ<MCU>だけ履修してれば良い、という問題じゃないからだ。
デップーを知るためには前作、前々作を見てないと面白くないだろうし、相棒となるウルヴァリンを知るためには『X-MEN』全作までいかないまでも7~8本は見ておいた方がいいだろうし、ガンビットがなんで出てくるかを知るには、ボツになった『X-MEN』のスピンオフ企画(チャニング・テイタム主演のガンビット主役映画)の有無についても押さえておいた方が良いからだ。
美少女から見事に美女へと変貌したX-23ことローラの素性を知るためにも、ウルヴァリンが壮烈な最期を遂げる『LOGAN/ローガン』は欠かせない。
クリス・エヴァンスが出て来たからと言って、キャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースだと考えるのは早計。
彼はキャップの前にファンタスティック・フォーのメンバーを演じたことがある。
吹替だとわざわざ中村悠一(別の役で出演している)ではなく、神奈延年にアテさせているのもわかる人にはわかる、といいうレベルか。
ブランクを感じさせないジェニファー・ガーナーのエレクトラは素敵だったし、名前だけしか出てこないデアデビルって誰だい?という向きには『デアデビル』とそのスピンオフ『エレクトラ』は必修科目になるし、ウェズリー・スナイプスが演じるキャラが気になる人は、20世紀FOXじゃないけどニューライン・シネマ製作の『ブレイド』はオススメ。
劇中で「オレが唯一無二のブレイドだ」てなことを言ってるのは、数年前から<MCU>内で『ブレイド』のリブートが進行中だから、ということを知ってることが大前提。
これらのキャラに共通しているのは、何らかの理由で続編が中止になった、シリーズ化が頓挫した、そもそも映画そのものがポシャった、といった具合に”未来”の無いヒーローたちだってことだ。
まあ見方を変えれば在庫一掃セール、見切り品の特売と言えなくもないけれど。
一方、<MCU>への目配せも忘れてはいない。
Disney+の『ロキ』を見てないとTVAのことはわからないし、ハッピー・ホーガンが出てくると、ああ<MCU>見てるんだなあという気持ちにさせられる。
「俺ちゃんがマーベルの神になる」、「MCUのヒエラルキーが変わる」というデップーの台詞はライバル会社を揶揄したものらしい。
ドウェイン・ジョンソンが某キャラクターを演じて某ユニバースに参戦する際に、事あるごとに宣言していたんだそうだが、興行不振もあってユニバースは再編されることに。
またウルヴァリンの変異体の一人を演じたヘンリー・カヴィルも、某ユニバースではメイン格の大物ヒーローを演じていたものの、こちらもお役御免に。
そのヘンリーに対しデップーは、他社よりも良い待遇で迎えます、と宣うのだから質が悪い、いや、お見事!
てなワケで、これまで<MCU>に限らずマーベル映画そのものを、そして某ライバル・ユニバース映画も楽しんじゃった人ならいいんだろうね、この映画。
自分はといえば、結構グロい場面もあったりしたけど、最初から最後までニヤニヤしながら見てましたよ、コレ。