『秀山祭九月大歌舞伎』
2024年 09月 03日
しかも新・歌舞伎座になってからは初。
もう建て替えられてから十年以上経つのだが…。
昼の部、先ず一本目は『摂州合邦辻/合邦庵室の場』。
出演は菊之助、愛之助、萬太郎、米吉、吉弥(ではなく体調不良のため上村折乃助が代役)、歌六。
門外漢の自分でも知ってる名前が並ぶ…のは良いのだが、事前に物語をきちんとチェックしていなかったため、筋が頭に入って来ず。
この人はなんでこんなことをやっているのだろう?
あの人とこの人はどんな関係なんだ?等々、悩んでいるうちにいつしか睡魔に襲われ、途中で若干の記憶を喪失…。
後で筋を読み返してみると、ラブストーリーというだけでなく、若干のミステリー・サスペンス物の要素もあったようで、これはいつかリベンジしたい。
二本目は「弘法大師御誕生1250年記念」と銘打たれた『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』。
原作は夢枕獏、脚本は戸部和久、演出は齋藤雅文で、出演は幸四郎、雀右衛門、歌昇、廣太郎、米吉、児太郎、染五郎、吉之丞、錦吾、又五郎、歌六、白鸚とこれまた豪華な顔触れ。
白鸚、幸四郎、染五郎と三代揃い踏みなのも良い。
原作は未読ながら以前、『空海―KU-KAI―/美しき王妃の謎』という映画化作品を見ていたので大丈夫だろうと思っていたのだが、あれあれ?こんなお話だったっけ?
まあ台詞は現代的だし、音楽も義太夫節じゃないし、笑える部分も多々あり、こちらは飽きずに最後まで鑑賞できた。
とにかく玉蓮の米吉が綺麗だったなあ。
公演初日のせいなのか台詞のトチりも若干気になったのだが、それ以上のハプニングが起こったので、それがかえって生の芝居を見られたと得した気分になった。
場面は、幸四郎扮する空海が中国琵琶を弾き語りするというものだったのだが、しきりに琵琶を弄っているのでなんか変だなと思っていたら、調弦が上手くいかなかったようで何度もやり直した挙句、「切れた…」。
それを橘逸勢の吉之丞、白楽天の歌昇、玉蓮の米吉が咄嗟にカバーし、結局は演奏無しの唄だけに切り替えて乗り越えたのだが、ここら辺はチームワークの良さが出ていたのではないか。
夜の部は玉三郎、染五郎、左近、吉之丞、松緑の『妹背山婦女庭訓/太宰館花渡し・吉野川』と、幸四郎、染五郎、歌昇、種之助、高麗蔵、友右衛門、菊之助、吉之丞の『歌舞伎十八番の内 勧進帳』で、こちらも見たかったなあ。