『パニッシャー(2004)』
2024年 11月 03日
虐げられた主人公が悪党に復讐する、そこにカタルシスを覚えないかというとそんなことはないのだが、その前段階として主人公が酷い目に遭わされる、それは耐えられないからだ。
それでも「復讐」と「暴力」をメインに扱っている映画の中では、本作は比較的おとなしい部類に入るだろう。
直接的な描写は極力抑えられている。
多分「ファミリー・ピクチャー」としてギリギリのラインは超えないように努めているからだろう。
そうはいってもこの作品がお子様向けかと言われれば「No」ではあるのだが、成人映画扱いするほどグロテスクでもバイオレンスでもないと思う。
逆にそのあたりが、やや中途半端に感じる部分かもしれない。
それにしても本作のフランク・キャッスルは潜まない。
元の警官仲間やマスコミの前にも堂々と姿を見せる。
市井に紛れて暮らすと言っても、殊更隠密行動を取っているわけでもない。
ぎこちないながらも隣人とはコミュニケートを取っている。
それが後に彼を救うことになるのだが。
そして正面切って相手に「復讐」ではなく、「制裁」を加えている。
そのやり口はとても「ヒーロー」と呼べる所業ではないが、映画を見てきた観客には肯定的に受け止められるギリギリのラインだろう。
一件落着の後でフランクは自ら命を断とうとするが、思い止まる。
自分以外にも法で裁けぬ悪に苦しむ者がいることに思い至ったのだろう。
彼はそこで”フランク・キャッスル”の名を捨て、”パニッシャー”として生きる道を選んだのだ。
簡単に女に靡かないのも良い。
<過去記事>
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