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『じつは義妹でした。〜最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ〜』 白井ムク

親同士の再婚で、真嶋涼太には「きょうだい」が出来た。
その姫野晶は美少年だけれども人見知り。
「きょうだい」が出来て嬉しい涼太は、何とか晶と仲良くなろうと努力する。
その甲斐あって徐々に晶も涼太に対して心を開いて行く。
ところが一つ誤算があった。
弟だとばかり思っていた晶は実は女の子?!
「兄弟」ではなく「兄妹」だったのだ。
一方晶は積極的にスキンシップを取ってくる涼太に、義兄ではなく異性として惹かれていたのだ。
『じつは義妹でした。〜最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ〜』 白井ムク_e0033570_20261492.png
これまた義理の兄妹が…というお話で、『義妹生活』と同じ時期に読み始めている。
あちらに比べるとこちらはラブコメ色が強く、そもそもいくらボーイッシュで一人称が「僕」だからといって、晶が弟でなく妹であることに3週間も気付かないというのは如何なものだろう。

一方の晶も、最初のうちはグイグイくる義兄を変な人だと思っていたのだが、まさか弟扱いされていたとは思わず、それでいてその距離感にすっかり参ってしまい、早々に兄貴に対して恋人宣言する始末。
過剰なスキンシップを図ってくるのだが、残念なお父さんと天然なお母さんは何も気づかず…。

『じつは義妹でした。〜最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ〜』 白井ムク_e0033570_20263344.jpgこの兄妹に、涼太の友人である上田光惺・ひなた兄妹や、売れない俳優である晶の実の父親、晶とひなたが参加することになる演劇部の面々らが加わってワイワイドタバタとやっていくお話ではあるのだが、巻を重ねるごとに背景に見え隠れしている重たい面が少しずつ顔を覗かせてくる。
かつて天才子役と持て囃された光惺と、彼を追ってデビューを夢見ていたひなた兄妹の確執は、晶とひなたが芸能プロダクションにスカウトされたことで表面化する。
これに晶の父親や、涼太を捨てた実の母親などが絡んできて、暗雲が立ち込めるばかりである。

今のところ先行きに不安しかないが、晶曰く「ハッピーエンドしか勝たん!」とのことなので、やがて明るい結末を迎えることを信じていよう。
――と原稿を書きかけで放置してしまっていたのだが、先ごろ完結した。

ただ、何か中途半端というか、あっさりと終わった印象が残る。
途中で打ち切りになったという不自然さはないが、構想は立てたもののそれを放棄したかのような、まだ先があるんじゃなかろうか?という消化不良さは否めない。
全てのキャラクターが「これから」大きく動き出していく、そんな終わり方なのだ。
晶役に内田真礼を起用したヴォイスコミックなどもあったので、てっきりアニメ化とか狙っているのだろうかと思っていたのだが…。

コミカライズはまだもうちょい続くとして、新シリーズ(『双子まとめて「カノジョ」にしない?』)と世界観を共有しているから、いずれそちらで近況が語られることもあるのだろうか。


by odin2099 | 2025-01-08 20:29 | | Trackback | Comments(0)

悪文礼賛


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