『誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由』 八神鏡

俺の教室には八歳の女の子がいる。
飛び級した天才少女で、見た目はまるでお姫様のように愛くるしいのだが、性格はとても冷めていて誰ともかかわろうとしない。
彼女が心を開くのは、同じ学校にいる姉だけ……と思っていたのだが、ある日お菓子をあげてみたら、めちゃくちゃ俺に懐いてきた！？
意外と寂しがりやな天才お姫様は、俺にだけとても甘えてくる。
その愛情は留まることを知らず、俺の義妹になるために学園で一番の美少女と名高い姉と結婚させようとして？
これは天才故に孤独だった幼女と、どこにでもいる平凡な少年の物語。

飛び級で８歳にして高校二年生の星宮ひめと、平凡な男子高校生の大空陽平、それにひめの姉・聖とのラブコメ、でいいのかな。
周りの人たちは腫物扱いするけれど、陽平だけはひめとナチュラルに接している。
挙句の果てに「妹にしたいくらい可愛い」などと口走ってしまったものだから、その気になったひめが聖と陽平を結婚させようと画策するというストーリー。

WEBでの連載版だと、ひめは陽平の膝の上に乗って授業を受けたりで、年相応というより年齢以上に幼さが強調されている気がするが、書籍版だともう少し理知的な雰囲気。
また姉の聖はWEB版だとゆるふわで天然、そして学年ワーストの成績の持ち主となっているが、書籍版だとそれが仮の姿とまでは言わないけれど、陽平のことを冷静に見極めようとしているのでは？と感じさせる描写がある。

結果、両ヴァージョンではひめと陽平、聖の関係がかなり違う印象を受ける。
WEB版だと陽平を兄と慕うひめ、恋愛に興味のない聖という部分が強調されているが、書籍版だと聖も少しずつ陽平を意識し始めているのだが、ひめも陽平に恋愛感情を抱いているのでは？と匂わされているのだ。

17歳と８歳の恋愛？と聞くとちょっと引いてしまう部分もあるのだけれど、書籍版のひめは割と大人びているので意外にありかもな、という気もしないでもないし、姉妹で一人の男の子を取り合うというのもラブコメではありがちなシチュエーションなのでこの先の展開が諸々気になる。

最近のWEB版では、姉妹の育ての親？ともいうべき存在のメイドや姉妹の母親も登場し、陽平は姉か妹か、いずれどちらかを選ぶ時が来ることを突き付けられるところまで来ているが、果たして書籍版も続巻の発売に漕ぎつけられるかどうか。