『偶然助けた美少女がなぜか俺に懐いてしまった件について』 桜ノ宮天音
2025年 02月 04日
高校デビューに失敗した自称陰キャぼっちの桐島玲。
偶然にも話題の美少女・三上陽菜のピンチを救ってしまい、お礼をしたいとお昼を一緒に過ごすようになる。
しかし三上さんは明らかに高嶺の花。
こんな関りも一時のモノ、お礼が済んでしまえば、また赤の他人。
そう思っていたはずなのに――昼休みの密会、放課後の噂話、朝の通学時間、休日での遭遇。
どんどん三上さんと共に過ごす時間は増えていく。
牽制しても三上さんは「お構いなく♪」と、ぐいぐい玲の日常に入りこんできて――。
お人よし男子×謎めく美少女の侵略系ラブコメ!?

二人が出逢ったのが4月の半ばで、それから陽菜が連日玲に付きまとうようになり(最初は昼休み、次に放課後、それから朝の登校前と下校時に家に入り浸るようになって、休日ももちろん一緒)、一学期の終わりには合鍵を貰って半同棲に持ち込み、やがて正式に同棲生活へ。
その後でようやく交際が始まり(順番が違う)、夏休み中にはもう結ばれちゃうのだから展開が早すぎ。
これ、ヒロインが文武両道の圧倒的美少女だから成り立つものの、そうでなかったら案外怖い話だなあ、などと思ったりもする。
それに陽菜が玲に惹かれた理由が、単に困っている所を助けてもらっただけではなく、要するに自分のことが眼中になさそうな、下心がなさそうな態度が逆に新鮮だったということなのだが、これもラブコメ定番のありきたりな設定ではあるものの、それだけだとちょっと弱いかなあ。
とはいうものの、作品としては結構気に入っている。
WEB版と書籍版、両方読んでる作品は他にも幾つかあるけれど、WEB連載版から読み始め、書籍版刊行を待っていたのはこれが初めて。
ストーリー運びというか文章にも大きな違いはなく、増補改訂版といったところだ。
「諭吉」が「栄一」に変更になっていたり、細かいところに手が入れられている。
この作品の特徴といえば、主人公二人以外には名前のあるキャラクターが登場しないこと。
出てくるのはモブのクラスメイトだけで、友人とか恋敵とかお約束の存在がいない。
もっとも今後続巻があるとすれば、陽菜の親友とか玲のクラスメイトとか玲の両親などWEB版には既に出て来ている連中も顔を見せ、会話劇の面白さも味わえるようになるはずだから期待したい。
分量的には既に3巻ぐらいまでは行けそうだし。
玲の両親は、登場するや否や陽菜を一目で気に入り(特に玲の母親が)、すぐさま意気投合して連絡先を
交換し、二人の仲を後押ししてくれるというのも定番の展開だが、実はまだ陽菜が何者なのかは作中では明らかにされていない。
陽菜の両親は途中で海外赴任しちゃった、ということで二人は同棲生活に突入するのだが、相当裕福な家庭に育ったと思われる陽菜の生い立ちなどを巡って、これから一波乱あるのだろうか。
【ひとりごと】
イラストの陽菜ちゃんは可愛いんだけど、WEB版を読んでいた自分のイメージとは全く違ったのでちょっとビックリ…。