『キャプテン・アメリカ/ニュー・ブレイブ・ワールド』(2025)
2025年 02月 17日

『キャプテン・アメリカ』主役の4本目だが、スティーブ・ロジャースに代わってサム・ウィルソンが2代目キャップを襲名しての新シリーズの1本目ということになる。
ただ、大統領になったサディアズ・”サンダーボルト”・ロス、Mr.ブルーと呼ばれたサミュエル・スターンズが物語の中心におり、ロスと娘のベティ(リヴ・タイラーが復帰)との和解が大きなテーマになっているため、『キャプテン・アメリカ4』というよりも『インクレディブル・ハルク2』の側面が強い。
そして『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の続編であることは勿論、『エターナルズ』や『ブラック・ウィドウ』の後日談にもなっている。
とはいっても当然主人公はサムであり、スティーブ・ロジャーズとの差を痛感し、キャプテン・アメリカという重責に押しつぶされそうになっている彼が、超人ではない一人の人間として誇りを持って盾を担う決意を固めるあたりは、フェイズ1や2の頃の<MCU>映画を彷彿とさせてくれ、フェイズ4以降の<MCU>に不満や違和感を持ち続けていた初期の頃からのファンの渇きも、ひとまず癒えるのではないだろうか。
そんな彼を支えるのが、出演を否定し続けていたセバスチャン・スタン演じるバッキーなのも嬉しいサプライズだ。
クリス・エヴァンスがカメオ出演するという噂はあったものの、スティーブ・ロジャースは名前が出るに留まったのは正解だったと思うが、これだけ言及されるのならばブルース・バナーやエミル・ブロンスキーが顔を見せてくれても良かったなとは思うし、ハリソン・フォードではなくウィリアム・ハートのままのロス大統領で見たかったとも思う(回想シーンでハリソンは口ひげを生やしてロスを演じているが、似合ってない)のだが、トム・クランシー風のポリティカル・サスペンス風味を持ち込んだことといい、この作品を一つの起点として<MCU>が次のステップへと進んでくれることへの期待を込めて及第点としたい。
劇中で政治の世界へ進んだことが明らかになったバッキーは、今後はヒーローとして以外の顔も見せてくれるのだろうか。
またエンドクレジットでのスターンズとサムの会話は、マルチバースからの侵略の預言ということなのだろう。
そろそろ次の「アベンジャーズ」映画が愉しみになってきた。
【ひとりごと】
米大統領に対して真っ向から「No!」を言える日本国総理大臣、現実にはいやしない。