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『ベルサイユのばら』(2025)

物語はアントワネットのフランス入りからオスカルの死まで。
その後の経過はエンディングテーマが流れる中でのテロップ処理。
本来は三部作程度のボリュームが欲しいところだったが、オスカルとアンドレに絞り約2時間弱でまとめられている。

『ベルサイユのばら』(2025)_e0033570_20502431.jpg驚いたのはミュージカル仕立てだったこと。
ナレーションも入るものの台詞は全体的に少な目で、キャラクターが歌う歌に合せ、モンタージュの手法でストーリーを転がしていく。
そのため予備知識がないと、この場面が何を描いているのかがわかりにくい面もあるが、キャラクターが絞り込まれているだけに本筋を追うのに支障は少ない。

オスカル、アントワネット、アンドレ、フェルゼン、他に目立つ人物といえばジェローデル、アラン、ベルナール、ジャルジェ将軍にルイ15世とルイ16世くらいか。
ロザリーやロベスピエールですらその他大勢に近い。
首飾り事件なども起こらず、黒い騎士も登場しない。
それでもダイジェスト臭をあまり感じないのは、絞り込んだキャラクターの描写が丁寧で、見ていて思わず引き込まれる演技、そして演出力の賜物だろう。

あれがない、これもないと不満に思うファンも多いだろう。
初心者向けの入門編としては端折り過ぎだという声もあるだろう(個人的にはややそう思う)。
それでも今回の映画化の際に切り捨てられた中にも珠玉のドラマがあることを知って、原作漫画やテレビアニメ版、宝塚の舞台版などに興味を持つ人が一人でもいれば、今回の映画化は成功だった、と言っても良いのではなかろうか。

【ひとこと】
アンドレ、ちょっと女々し過ぎないか?


Commented by ふじき78 at 2025-02-20 19:47
ミュージカルだからと言って、インド人に作らせなかったのが成功の要因ですね。
Commented by odin2099 at 2025-02-20 21:01
> ふじき78さん

それは流石にヤバすぎる。
でもミュージカルといっても、宝塚調ではないのはある意味で冒険だと思う。
by odin2099 | 2025-02-19 20:51 |  映画感想<ハ行> | Trackback | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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