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『大仏廻国』(2018)

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『大仏廻国』は1934年に製作された
枝正義郎監督による長編劇映画である
怪獣映画に代表される日本の特撮映画のイメージを
明確に打ち出した最初期の作品とされる
物語は突如起き上がった愛知県の大仏が
舞台である名古屋市内を歩きまわるといういうもの
天国と地獄が登場するなど奇想天外な内容であるが
フィルムは戦災によって消失してしまっている
その同作を公開から80年以上経過した現代に
蘇らせるため特撮ファンのクリエーターが結集
特撮史として重要作品とも呼べる本作の価値を
未来へ繋ぐため再定義することを目的に…
そして作品で描かれる戦争や自殺などのテーマが
今日にも通ずると考えた
枝正義郎監督の孫である佛原和義氏の
承認と協力による新しいリメイク作品として…
当時の最先端技術を駆使した原作へのリスペクトを中心に
現代の表現を用いた自主製作映画として制作した

――というのがオープニングに表示される製作の経緯。
公開当時に映画館で見損ない、ちょっと口惜しい思いをしていた作品だ。

幻の特撮映画のリメイク版だということだが、不安なのはオリジナル作品が残っておらず視聴できないことと、じゃあ映画の全貌がわかるような資料が遺されていたのか?ということだったのだが…。

まあ、無理して映画館に行かなくても良かったかな。
特撮映画ファン所縁のキャストが次々と顔を出すも、メインキャストの素人演技に合成主体の特撮場面。
お話もリメイクというよりメタフィクションのようで、オリジナル作品を引用した作りになっていた。

おまけにお話がサッパリわからない。
いくら自主映画とはいえ、1時間足らずの上映時間が倍近くに感じられた。
これを見た後で口直しで『ウルトラマン/怪獣大決戦』を見ちゃったくらいだ。

監督はネズラ1964HOSHI35/ホシクズの人だが、特撮好きなのは伝わってくるし、その熱意は買いたいところなのだが……。
この監督にはもう一本『怪猫狂騒曲』というのもあって、こちらは宙明先生の遺作だから気にはなっているのだけれども、これもきっと自分には合わないんだろうなあ。


by odin2099 | 2025-03-22 19:25 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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