『サンダーボルツ*』(2025)
2025年 05月 02日
NYの街に突如として現れた大きな黒い影。
瞬く間に市民を消し去っていく謎の敵により、世界は再び大きな脅威と直面する。
しかし、数々の敵から世界を救ってきたアベンジャーズは、そのピンチに姿を現さない。
謎多きCIA長官のヴァレンティ-ナは、誰がこの脅威から世界を救うのかを問いかけるが、絶望の中立ち上がったのは、かつて洗脳されヒーローと対立した過去を持つウィンター・ソルジャーことバッキーだった。
彼が仲間に誘ったのは、悪事を犯した過去を持つエレーナ、USエージェント(ジョン・ウォーカー)、レッド・ガーディアン(アレクセイ)、ゴースト、そしてタスクマスターだった。
そこにボブと名乗る謎の男も現れ…
ヒーローじゃない彼らは、誰も空を飛べず、戦闘手段は肉弾戦のみ。
好戦的な性格の彼らはチームを組むも、エレーナは突如ジョンに銃を連射し、悪役のようにビルを爆破、敵を拘束して拷問を始めてしまうなど、ヒーローとは程遠い…マーベルの新チーム「サンダーボルツ*」はアベンジャーズにかわって、この脅威から世界を救うことはできるのか?
この公式サイトのストーリー紹介は、実際の作品とちょっと違うな。

駆けつけたアレクセイの助けもあって何とかその場を後にする。
だがそこに破棄したはずの計画の被験者が一人生存していて、ヴァルは今度はこのボブという男を手中に収めようとする。
一方ヴァルの行動を注視していたバッキーはエレーナたちを捕縛し、ヴァルの悪事の証人としようとするが、ボブの存在を知り今度は皆の協力を仰いでヴァルの元を訪れる。
が、覚醒したボブ改めセントリーのパワーに圧倒されすごすごと引き下がる羽目に。
しかし災厄に見舞われた市民を助け、ボブを奪還するべく再び立ち上がる、という丁度”裏”「アベンジャーズ」みたいなお話だ。
DCコミックの映画化作品には、ヴィランばかりを集めた”消耗品軍団”「スーサイド・スクワッド」がいるので似たようなものなのかなと最初は考えていたのだけれど、「サンダーボルツ*」の連中はヴィランというより「落ちこぼれ」集団。
各自が各々の弱さを自覚し、克服までは行かないまでも新たな選択をするというクライマックスは、スーパーヒーローの映画というよりグループセラピーの映画で、これは今までのアメコミヒーロー映画にはなかった視点で、かなり新鮮である。
適度に笑えるし、エモーショナルな場面もあるので、<MCU>のフェイズ5の中では一番の出来かもしれない。
問題はいきなりこの作品を見た人が、何の説明もなしでこの「サンダーボルツ*」のメンバーを認識できるかどうかだろう。
最後は悪運強いヴァルによって彼らは「ニュー・アベンジャーズ」にされてしまい、ポストクレジットシーンによれば、サム率いる新生アベンジャーズとどっちが本物かで訴訟合戦にまでなっているようだ。
となると新生アベンジャーズにどういうメンバーが選ばれてるのかも気になる。
ちなみにポストクレジットシーンの締めくくりは、異次元からの謎の宇宙船出現のシーン。
その船体には「4」のマークが…
ということで次回作『ファンタスティック4/ファースト・ステップ』への引きもバッチリだ。
しかしなんで今回タスクマスター出したんだ?

公開後の監督のコメントによると、
サンダーボルツ*のメンバーは
物語の途中でもいつ誰が死ぬか分からない。
・・・みたいな危機感があり、
それを
見ている人たちに与えたかったらしいけど、
だとしたら、
もう少し後の展開で死なないと、
そんな風には思えないかな?
いきなりすぎてめちゃくちゃ不自然だった。
まあでも、映画は面白かった。
そのコメントは読みましたが、納得はいかないですねえ。
『スーサイド・スクワッド』も序盤でメンバーの一人があっけなく最期を遂げますし確かに「誰が生き残るかわからない。もしかしたら全滅?」と考えさせるという効果はありそうですが、ファンなら他のメンバーが次の『アベンジャーズ』に出るのも知ってるだろうし。
同じ退場させるにしても、せめてクライマックスで仲間たちを助けて犠牲になるとか、何らかの見せ場が欲しいところです。

「タスクマスター」はポスターとかメンバーの一員として使われてるのがいやですね。
ウォーカーは『ファルコン&ウィンターソルジャー』が準主役級の扱い。
最初はヒーローなんだけど途中でヴィランに転落…かと思いきや、今回の映画見る限りでは踏みとどまったみたい。
このあたりは配信ドラマ見てる層と見てない層で、キャラクターに対する理解度も違ってきちゃうのは仕方ないところかな。
いっそ「配信ドラマに出て来た奴らは映画に出しません」とでもすりゃいいのかも知れないけど、そうなったら配信ドラマ、見なくなるだろうしなあ(苦笑)
なのでやっぱりSWも含めて、限定公開でもいいから配信ドラマ(全作品とは言わない)を再編集した劇場公開版を作り、サブスク未加入の人でも見られるようにして欲しい。
加入促進のCM、あるいは「長い予告編」と割り切ってでもいいし、それを見てノーカットの全長版に興味持つ人も出て加入する人もいると思うんだけどな。
一応一部の作品はBlu-rayでも発売を始めたけど、レンタルしないんじゃあまり意味ないかな。
完全にコレクターズアイテムと化してるし。