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『スイミング・プール』(2003)

ミステリー作家サラは、出版社の社長の別荘に招かれる。
南仏の美しい自然に囲まれたプール付きの別荘に着くと、次々とインスピレーションが湧き、サラはすぐ執筆を始めた。
そこに社長の娘ジュリーが現れ、2人の奇妙な共同生活が始まる。
毎夜違う男を連れ込んでは騒ぎ回るジュリー。
最初は苛立つが、瑞々しい肢体で男を誘惑するジュリーに、サラは興味を持つようになる。
やがてサラは自らがミステリーの主人公になり、現実との区別が曖昧になっていった。
そんなある日、サラはプールサイドに残った血痕を見つける。

『スイミング・プール』(2003)_e0033570_14203584.jpg殺人事件を題材にしたミステリーということだったが、100分ほどの上映時間の内、残り30分を切るあたりまで何も起きない。
そこからは急展開なのだが、そこに至るまでに登場人物の会話の中に嘘が混じっていたり、主人公の視た映像が実は妄想の中だったりという具合に虚実取り混ぜたものになっているため、何が起こっているのか、そもそもこれは実際に起きたことなのか、それすらも判然としないものになっている。

結局は登場人物の殆どは主人公の創り上げた架空の人物か、あるいは実在の人物を元に固められた虚構の人物で、その人物たちが繰り広げる物語も、全て主人公の胸の裡にあるものだった、ということになるのだろうか。
ちなみに『スイミング・プール』という題名も、劇中で主人公が書き上げた本の書名だ。
見た人によって解釈は様々に分かれそうで、そういう意味では傑作ミステリーということになるのかもしれない。

登場人物は少ないが、中でも主人公を翻弄する少女を演じたリュディヴィーヌ・サニエが魅力的。
彼女は登場場面の殆どが半裸か全裸で、その見事なプロポーションを惜しげもなく披露し、様々な男を手玉に取る魔性の女っぷりに説得力を持たせている。

だがそれに輪をかけて驚かされたのが、主演のシャーロット・ランプリングだ。
撮影当時は50代半ば過ぎだったはずだが、黒々としたヘアーも全開に年齢を感じさせない肢体で男を誘惑するのである。
ロリータヌード(といっても劇中で年齢は明らかにされていないが、そこまで若くはないだろう。演者は20代前半だったはずだ)と熟女ヌード、どちらもガッツリ見せて(魅せて)くれるので、実に眼福だ。


by odin2099 | 2025-05-11 14:24 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』)


by Excalibur(エクスカリバー)
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