『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』 ネコクロ
2025年 06月 22日
白井来斗が通う高校では、学校一の美少女である黒雪美咲に対して数日に一度告白が行われている。
やがて恒例となった告白劇場。
しかし、美咲はその告白を断り続けていた。
来斗はその様子を遠巻きに眺めつつ、嫌われ者の自分と美咲とでは世界が違うと思っていた。
だが、幼い妹と一緒に行ったお祭りで、厄介な男達に絡まれている美咲と遭遇。
止むを得ず彼氏のフリをしてその場を乗り切ったものの、その様子を学校の生徒たちに目撃されてしまい、瞬く間に噂が伝播。
さらに、色々と都合がいいからということで、美咲から偽の彼氏役を頼まれて……⁉
ニセモノだけど、ホンモノ以上に甘くてもどかしい、秘密の青春偽装カップルラブコメ開幕!

といっても偽装カップルを提案してみたものの、早い段階で美咲は来斗にゾッコン(となるほど主人公が魅力的かというとギモン)で、自分の周囲にいる二人の女性――一人は来斗の妹・心愛が通う保育園の保育士であり、自分の姉である美空。もう一人は親友で、どうやら来斗の幼馴染らしい氷華――を警戒、牽制してるので、ちょっと構造は歪な感じ。
美咲が策を弄して来斗を捕まえるという訳ではないから、題名には偽りありだ。
また美咲がわざわざ面倒くさい行動を取っているのは、とある切っ掛けで恋愛に対して臆病というかトラウマを抱えているからなのだが、本人自身が過去に辛い思いをしたということでもないので、理由付けとしてはやや弱い。
それに氷華も色々あって男嫌いになっているとのことだが、こちらはまだ明らかにされていない来斗と氷華の「ただの幼馴染」同士だけじゃない過去の因縁(おそらくは痴漢に遭った氷華を来斗が助けたことがある)を今後描き、その後で来斗を巡って美咲との三角関係に持ち込む可能性を示唆してるのかな程度なので、やはり弱いかなという気がする。
むしろキーパーソンになり得るのは美咲の姉の美空だろうと思うのだが、こちらはどこまで掘り下げることになるのやら。
というところなのだが、1巻ではまだ美咲が自分の気持ちに気付いただけで、来斗の方は美咲の距離の詰め方に戸惑っている段階。
先行しているWEB連載分でようやく二人は正式な恋人同士になるので、目出度く発売が決まったという2巻の早い刊行が望まれるところだ。