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『好きだった子をメイドにしたら、俺の部屋でこっそりナニかしている』 鏡遊

清宮継司は由緒正しい名家の一人息子。だが事情があって家は継げず、別邸で一人暮らしを楽しんでいた。
ある日、上流階級の同級生たちすら一目置く優等生・氷坂清耶香がメイド服を着て転がり込んでくる。
「いくら俺でも、同級生を金で雇うほどクズじゃないぞ」
「雇ってくれないなら、メイド服を着た宿なし少女が爆誕するわ」
「断ってもクズになるのかよ!」
「今ならあなたが期待する『ご奉仕』もついてくるわよ?」
「…………」
「あ、ちょっと揺れたわね」
密かに好きだった女子と一つ屋根の下なんて精神がもたない!
けど清耶香は、たまに俺の部屋を漁って何をしてるんだ?
『好きだった子をメイドにしたら、俺の部屋でこっそりナニかしている』 鏡遊_e0033570_19024853.png
最初のうちは、名家の息子が貧乏人ながら優秀な女生徒に惹かれ、なんだかんだであれこれ面倒見ていくうちに親しくなっていくラブコメなのかなと思わせておいて、実は二人には出生の秘密があり、双方の思惑に基づき意図的に行われた”取り替え子”だと判明して一気にトーンが重くなっていくので驚かされた。

といっても継司と清耶香で清宮家の跡目争いをする話でも、清耶香が自分をこんな境遇に貶めた連中に復讐を果たそうとする話でもないし、継司の方は清耶香を後継者にしても良いと思っているのに、清耶香の方はあくまでも継司を立てようとしているし、その想いに応えようと継司もクズから脱却し、人脈作りに勤しむようになっていく、というのがここまでの展開なので、ビルドゥングスロマンと呼ぶのもどうなのか――という感じではある。

二人の目指すゴールがどういうものなのかイマイチ見えないという点では、先行きが非常に気になる作品だとは言えよう。
ただしメインとなるキャラクターがやや類型的で、シチュエーションが特殊だから良いものの、面白味や新鮮味に欠ける部分はある。
by odin2099 | 2025-09-26 19:04 | | Trackback | Comments(0)

悪文礼賛


by Excalibur(エクスカリバー)
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