人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『鉄腕アトム/宇宙の勇者』(1964)

『鉄腕アトム/宇宙の勇者』(1964)_e0033570_19384123.jpgTVシリーズ『鉄腕アトム』のなかから、第46話「ロボット宇宙艇の巻」、第56話「地球防衛隊の巻」、第71話「地球最後の日の巻」からなる劇場用映画。
他にも1~3話からの流用があったり、エピソード間の繋ぎのシーンなどに新作シーンもあり用意され、更に新規アフレコも敢行されるなど、単に3本を続けて流すのではなく再構成されている。
監督表記はないが、元のエピソードの演出は山本暎一、林重行(りんたろう)、高木厚の3名。
原作・構成・制作として手塚治虫の名前がクレジットされている。

物語の舞台となっているのは世界歴2004年。
世界暦=西暦だとするならば、製作時より40年先の未来のお話ということになる。

最初のエピソードは、多数の部品ロボットを合体せて完成させるロボット宇宙艇開発に纏わる話。
部品の一つであるロボットが合体を拒み、実験は失敗。
そこを人工島の司令官に襲撃されアトムも窮地に陥るが、部品ロボットの協力を得て見事に成功させるという話。
司令官(女性)は息子を亡くした過去があり、部品ロボットをそっくりに改造して愛情を注ぐという場面があり、これがアトム=飛雄との対比になっているのだろうが、残念ながら上手く表現されていない。

二つ目のエピソードでは、その宇宙艇に乗って月へ向かったお茶の水博士が地球侵略を企む宇宙人に攫われてしまうという話。
ゲスト出演の地球防衛隊ナンバー7と協力し、アトムは宇宙人を撃退して博士を無事に救出する。
どちらかというとアトムの方がゲスト扱いっぽいが、これは元々手塚の別作品『ナンバー7』からキャラや設定を流用したためだろう。

三つ目のエピソードは、ニコロ星から脱出したロボットのベムとアトムが出会うことから始まるお話。
ベムは爆弾を抱えており、爆発を拒否してニコロ星からの追手から逃げていたのだ。
アトムはベムを守ろうとするが、途中で誤解が生じて仲違いしてしまう(お茶の水博士がアトムの言葉に耳を傾けず、ニコロ星人の主張を鵜吞みにしたのが原因なのだが)。
ニコロ星人は地球破壊を宣言するが、ベムは身を挺して地球の危機を救うという、ハッピーエンドではあるもののしんみりさせられる結末だ。

モノクロ作品ではあるが、56話はフルカラー、71話はパートカラー(後に全編フルカラーのヴァージョンも作られた)。
この内56話は単独で『鉄腕アトム/地球防衛隊』として『宇宙怪獣ガメラ』の併映作品として劇場公開され、公開当時に劇場で見ているのを薄っすらと覚えている。

日本のアニメ界のいわば黎明期の作品なだけに、オープニングでスタッフ、キャストとしてクレジットされる名前に圧倒されるが、その分古い作品であることも実感させられる。
懐古趣味や物珍しさで見るのは愉しいが、流石に今日の目で見てしまうと表現に物足りなさを感じてしまう。
自分が幼少期に親しんだ作品はもうちょっと後の製作だが、熱中した当時と違いこれらの作品も今見直すと古臭く感じてしまうのだろうなあ。


by odin2099 | 2025-10-07 19:40 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(0)

悪文礼賛


by Excalibur(エクスカリバー)
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30