『沈黙の艦隊 VOYAGE 3』（1997）

北極海へ向かった「やまと」に対し米国は、ソ連に呼びかけて北極海に展開する米ソ全ての原潜を引き上げさせる。
そして「やまと」と同性能の新型原潜「シーウルフ」を投入、「やまと」を撃沈するオペレーションＡ、即ち「オーロラ作戦」を決行する。
その「シーウルフ」の艦長は名門ベイツ家のジョン・アレキサンダー・ベイツ大佐で、「シーウルフ」は「やまと」の予想を超える驚異的な速度で海中を移動し、「やまと」を翻弄する。
だがやがて海江田はそのカラクリに気付く。
「シーウルフ」は２隻いることに。
もう１隻の「シーウルフ」を指揮するのは、将来の米国大統領を約束された男――ベイツ家の長男ノーマン・キング・ベイツ少将で、兄弟で連携して「やまと」を追い詰めるのだった。

『沈黙の艦隊』OVAの２作目で、最初のTVスペシャルから通算すると３作目。
東京湾を後にし、北に進路をとった「やまと」のその後が描かれ、実写映画の２作目でもメインで描かれた北極海でのベイツ兄弟との激闘がフューチャーされている。
登場人物が絞られたため、２作目に比べるとダイジェスト臭も薄れ、見応えのあるものになっている。
このあたりは原作の面白さもあるが、高橋良輔監督の力量もあるのだろう。

OVAはこの３作目で打ち止めになってしまったが、出来ればこのままの座組で最後まで見せて欲しかった。
この後はアクションだけでなく政治的ドラマの比重も高くなるので、アニメとして表現するのは難しいと判断されたのだろうか。
願わくば実写版では、海江田の国連総会での演説まで描き切って貰いたい。