『八つ墓村』(1977)
2025年 11月 08日
アガサ・クリスティー原作の『オリエント急行殺人事件』がヒットしたので、それに対抗して企画が立ち上がったのかなと思っているのだが、むしろ『エクソシスト』や『オーメン』などのオカルトホラー映画からの影響が強そう。
キリスト教のバックボーンが一般的ではない日本では、悪魔の子や悪魔憑きを題材にした作品は作りづらいだろうが、一方で呪いや祟りは今日でも取り上げられるテーマだから馴染みやすい。『犬神家の一族』や本作がヒットした背景には、オカルトホラーあり、だろう。
出演は萩原健一、小川真由美、山﨑努、山本陽子、中野良子、井川比佐志、市原悦子、渥美清ら。
監督は野村芳太郎で、脚本が橋本忍、音楽に芥川也寸志という布陣は『砂の器』と同じ。
角川春樹はこの作品のプロデュースで映画界へ打って出ようとしたが、松竹と決裂したため『犬神家の一族』が角川映画の第一作になったという経緯がある。
松竹映画だからだろうが、金田一耕助は渥美清。
風采の上がらない朴訥としたキャラクター像は原作者のイメージには近かったらしいが、やはり石坂浩二に慣れた身からすると違和感タップリ。
連続殺人事件が起きても動揺しないその姿勢は、落ち着いているというよりも鈍重なイメージを与えてしまう。
それにクライマックスが近づくと、証拠云々よりも心証に基づく推理を淡々と披露するので納得がいかない。
しかもカットバックで、今まさに真犯人によって主人公が害されようとする場面を織り込むのだから、こんなところで油打ってる場合じゃないんじゃ?と思ってしまう。
また『砂の器』同様に音楽で持たせてる場面も幾つか。
もしこれらの画面に凡庸なスコアを当てていたら、目も当てられない状態になっていたかもしれない。
全て画面に映し出すのが優れた演出だとは思わないが、「あとヨロシク」的に音楽に丸投げするのが監督としての正しい決断とも思えない。
夏八木勲、田中邦衛クラスをチョイ役で起用したり、出演者に風間杜夫や吉岡秀隆の名前があって驚いたり、岡本茉莉に安永憲自(水島裕)なんてどこに出てたんだよーとかいうマニアックな楽しみ方は兎も角、今回30年ぶりくらいに再見したのだけれども、こんなにつまらなかったっけとやや驚いた。





